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2023/10/12(木) 10:00

〝ぶっ飛んだみどり〟だけでない 「グラングリーン大阪」タワマンに絶句

投稿者:  牧田司

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「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE(ザ ノースレジデンス)」

 積水ハウスなど「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」開発事業者JV9社は10月12日、北街区タワーマンションの販売概要に関する記者発表会を開催し、レジデンスサロンを報道関係者に公開した。分譲マンションの名称は「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE(ザ ノースレジデンス)」とし、10月12日から公式HPでのエントリー受付を開始し、2024年2月に販売を開始する。発表会には37のメディアが参加した。

 「うめきた地区」は、鉄道4社7駅が乗り入れ、1日約250万人が行きかう西日本最大のターミナルエリアに位置する、約24haの旧梅田貨物駅跡地の再開発区域の総称。「うめきた1期」の先行開発「グランフロント大阪」(開発面積約7ha)は事業者12社によって2013年3月に着工、2013年にまちびらきが行われた。

 「グラングリーン大阪」は、「うめきた2期」のプロジェクト名称で、開発面積は大規模ターミナル駅直結の都市公園としては世界最大級の約45,000㎡の「うめきた公園」を含む約9.1ha。三菱地所を代表とする事業者9社によって「北街区」「南街区」全体で延床面積約54.4haの分譲マンション、賃貸住宅、オフィス、ホテル、商業施設などが整備される。「うめきた公園」は来年9月に先行まちびらきが行われる予定。全体まちびらきは2027年度の予定。(延床面積は約55.3haの「Torch Tower」や約56.5haの「神宮外苑」に匹敵)

 発表会で、「うめきた1期」の「グランフロント大阪オーナーズタワー」(525戸、2013年竣工)に続き幹事会社になった積水ハウス代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏は、物件の特徴であるロケーション、カーギャラリー、電力融通システムを紹介し、「われわれJV9社は、年代を経るごとにと味わいを増し、街の財産になることを目指す」と挨拶した。

 販売を担当する積水ハウス取締役専務執行役員・石井徹氏は「今回のプロジェクトメンバーである阪急阪神不動産さんとオリックス不動産のグループの阪神タイガースとオリックス・バッファローズが優勝した。野球と同じように、今回のマンションで関西を盛り上げていく」と、三菱地所レジデンス取締役専務執行役員・加治屋倫浩氏は、「第1期に続き今回のプロジェクトに参画できて感慨深い。グループの1社としてノウハウを結集し、積水ハウスさん、阪急阪神不動産さんと協力しなからさらに関西の活性化につなげられるよう取り組んでいく」と、阪急電鉄取締役兼阪急阪神不動産代表取締役社長・諸冨隆一氏は「阪神タイガースが18年ぶりに優勝した。同じJVのメンバーであるオリックスさんのオリックス・バファローズと日本シリーズで戦うことを楽しみにしている(決まったわけではないが、記者も9分9厘そうなると思う)今回のマンションが関西ナンバーワンマンションになることを確信している」とそれぞれ語った。

 続いて登壇した積水ハウス大阪マンション事業部長・宮田浩氏が物件の特徴について、「次代の王宮」をテーマに、迎賓思想を体現した陰翳のある外観と贅を尽くした共用部、機能・設備などを説明し、専有部では「間」と「シンメトリー」を取り込んだ住戸プランにし、最上階の住戸(305㎡)は関西圏史上最高価格の25億円にすることを明らかにした。

 物件は、JR大阪駅から徒歩7分、阪急電鉄大阪梅田駅から徒歩9分、Osaka Metro梅田駅から徒歩9分、大阪市北区大深町に位置する敷地面積約7,318㎡、46階建て延べ面積約72,291㎡、46階建て全484戸(募集対象外住戸248戸を含む)。専有面積は45.61~305.46㎡、価格は未定。完成予定は2025年12月下旬。売主は積水ハウス、大阪ガス都市開発、オリックス不動産、関電不動産開発、竹中工務店、阪急電鉄、三菱地所レジデンス、うめきた開発特定目的会社。販売代理は積水ハウス、三菱地所レジデンス、阪急阪神不動産。設計は竹中工務店・日建ハウジングシステム。監理は日建ハウジングシステム。施工はうめきた2 期共同企業体(竹中工務店・大林組)。販売予定は2024年2月上旬。

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仲井氏(梅田スカイビル36階スカイルーム1で)

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左から石井氏、加治屋氏、諸冨氏、宮田氏

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フォトセッション

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「うめきた公園」(手前が大阪駅)

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レジデンスサロンに再現したコリドール

◇      ◆     ◇

 先週の同じ木曜日、三菱地所レジデンスの「三菱地所レジデンス 大阪ギャラリー」と「ザ・パークハウス 大阪梅田タワー」の取材に行ったばかりなのに、2週続けて大阪の取材入るとは…しかし、「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」を見逃したら一生悔いが残ると出かけた。前段でも書いたが、延べ床面積は「Torch Tower」と「神宮外苑」に劣らないビッグプロジェクトだ。これを見ずして街づくり、再開発、億ションを語れない。

 取材する決断を自ら下したのにはもう一つの理由がある。関西人の気質を見事に表現している天童よしみさんの〝負けたらあかん東京に〟がプロジェクトに反映されているのではないかという期待があったからだ。

 結果はその通りとなった。意想外の収穫があった。一瀉千里とはいかないが、思いつくままに気がついたことから紹介する。

 まず、「大規模ターミナル駅直結の都市公園としては世界最大級の約45,000㎡の『うめきた公園』」から。このような都市公園はわが国にあるか。東京の「上野恩賜公園」がすぐに思いついたが、「恩賜公園」と名付けられているように歴史も成り立ちも全く異なる。主催者に外国の例はどうかと聞いたが、明確な答えは得られなかった。仲井社長が語ったように「世界的にもまれ」と言うことなのだろう。

 都市公園は大阪府と大阪市が折半で事業費(用地取得費及び整備費)を賄うことになっているので、その「価格はなんぼやねん」と聞いたが、事業者は明らかにせず、同様の質問を大阪府にもしたが「現段階で明らかにできない」と言うことだった。

 断られると探りたくなるのが記者の習い性だ。今年のうめきたエリアの地価公示は坪4,620万円だ。これは容積率が700~1000%のエリアであるはずなので、容積率100%(1種当たり)坪単価は462~231万円だ。

 ただ、都市公園は建築規制が強く、容積率は最大でも200%だ。これを勘案して土地所有者の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)から府と市が用地を取得する費用は600~700億円とはじいた。これに公園整備費が加わるので事業費は1,000億円くらいになるのではないか。それぞれ負担額は500億円だ。高いか安いかはともかく、元橋下市長が話した「ぶっ飛んだみどり」が実現するのだろう。事業者もそれを享受できるということだ。

 次に〝ぶっ飛んだマンション〟について。最高価格が25億円(305㎡、坪単価2,687万円)と聞いても、これは全然驚かなかった。記者はバブル期に坪2,000万円、3,000万円の物件を結構取材している。1戸の最高価格はドムス「元麻布」の44億円だった。バブル崩壊後の1戸の最高価格は三井不動産レジデンシャルの「六本木」55億円だ(これより高い物件もあると聞いているが記者は知らない)。何かにつけ、大阪は東京の半分だから今回の25億円というのは妥当な値段だ。

 驚いたのはそんなことではない。驚嘆したのは基本性能・共用施設・設備仕様レベルの高さだ。免震タワー、日本初の72時間稼働可能な自立型エネルギーシステム、ZEH oriented、CASBEEのSランク、低炭素建築物認定もなることながら、記者が絶句し、息をのんだのはシアターに映し出された「カーギャラリー」「次代の王宮」の象徴であるコリドール、景石と桜のゲート、水景、庭園、屋上庭園などの共用施設、オートスライドドア、全戸独立キッチン・ダイニング・リビングの商品企画だった。シアター(製作したのは電通か)には、字幕に「言葉はいらない」が出たのみで、ナレーションは一切なし。(手あかにまみれたフレーズではあるが、感動のあまり声をなくすのはよく分かる。記者が最高のシアターだと思っているのは、第九の第4楽章がBGMとして流された野村不動産他「Tomihisa Cross」だが、今回はそれに匹敵するか)

 記者と一緒にシアターを見ていた記者の方(記者よりずいぶん年下だが、トップクラスの記者だと思う)が感極まったのか「今まで見たマンションでこれが最高」と声をあげた。40年以上にわたって数えきれない億ションを見学・取材してきた記者も、これほど豪華なマンションは初めてだった。「カーギャラリー」はシンガポールなどの海外ではまれにあるそうだが、全然知らなかった。記者は車のことは知らないが、個別に駐車するスペースは4畳大必要なことをネットで調べた。専用のエレベータや動線も確保しないといけないだろうから、とてつもないコストをかけているのだろう。28戸が対象という。

 モデルルームは2戸。111㎡は白が基調のデザイン。額縁付きの重厚なドアがとくに目を引いた。キッチン・ダイニング・リビングをそれぞれ独立させているのも特徴だ。リビング天井高は2700ミリ。

 305㎡のタイプは、これまで見たこともないものであ然とするほかなかった。目がくらみ、足がすくんだ。(王室などは小説かテレビドラマ、映画でしか見たことがない)。両開きのオートスライドドア幅は1.5mくらいか。かつて同じようなのを見ているので驚かなかったが、これまた凄い。玄関・ホールは10畳大はある。シャワールーム付きの浴室も10畳くらいか。リビングは32.7畳大で、高さは5m。ダイニングは21.7畳大で、高級レストランかラグジュアリーホテルの個室そのもの。主寝室は15.3畳大。玄関は2か所。

 レジデンスサロンに再現したコリドールは高さ6メートル。列柱はせっこうと石造り、床も石。ガラスの外には水景。家具・調度品は海外の特注品。ベルベッドのカーテン布はえも言われぬ手触り感がし、タッセルは豪華な刺繍つき。椅子は1脚150万円はしそうなものだった。

 最後に坪単価予想。記者はこの「うめきた2期」のプロジェクトが発表されたときから、マンションの坪単価は1,000万円と予想していた。梅田駅前のマンションが坪400万円もしなかったころだ。今回、モデルルームを見学して、予想は間違いでなかったことを確信した。坪650万円の東建「堂島」も素晴らしいが、その倍と聞いても驚かない。上方修正して坪1,200万円もあるかと思うが、〝商いは牛の涎から〟。大阪商人の後継である積水ハウスなどが一獲千金の一網打尽の利益を追求するはずがない。腹八分目、ここは1,000万円か、高くとも1,100万円に抑えると読んだ。

 「三田ガーデンハウス」のように的中するかどうかだが、記者は坪1,000万円以下だったら、JV9社の鼎の軽重を問う。これで坪1,000万円を超えられなければ、いつまで経っても東京を超えられない。後塵を拝すことになる。もう一度言う。〝負けたらあかん東京に〟-それが表現されているマンションだ。

 もう一つ、今回の取材で注目すべきなのはその売れ行き・注目度だ。総戸数484戸のうち販売対象は236戸で、残りの248戸は「募集対象外住戸」と記載している。他の記者の皆さんはどう考えているか知らないが、一般分譲する前から半分以上が〝縁故販売〟(クローズド)で確定しているということだ。これまた凄いが、当然のような気がする。

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コリドール

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ガーデンラウンジ

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屋上庭園

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カーギャラリー

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最上階305㎡モデルルーム

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最上階305㎡モデルルーム

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最上階305㎡モデルルーム

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最上階305㎡モデルルーム

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最上階305㎡モデルルーム

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最上階305㎡モデルルーム

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塗装・額縁仕上げのドア

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1脚150万円はしそうなイタリア製チェア 

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タッセル

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