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2021/11/25(木) 17:23

〝どう見ても美しい〟大阪の市場を変える 東京建物「堂島」は坪単価650万円

投稿者:  牧田司

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「Brillia Tower 堂島」

 東京建物が分譲中の大阪市内初の「Four Seasons Hotel」とコラボした複合タワーマンション「Brillia Tower 堂島」を見学した。コンセプトの〝旅とアート〟が具現化されており、日建設計による外観デザインとピエト・ブーン氏による236㎡の「白」を基調としたモデルルームの美しさに仰天、魅了された。坪単価は大阪市のこれまでの最高値400万円をはるかに超える650万円ながら、第1期1次130戸は約540件の登録を集め4.2倍で即日完売した。価格は東京のほぼ半値で、基本性能・設備仕様レベルも劣る大阪のマンション市場を変える衝撃的な物件だ。

 物件は、JR大阪駅から徒歩9分、大阪市北区堂島二丁目の商業地域に位置する敷地面積約4,828㎡、49階建て全463戸(募集対象外住戸53戸含む。住宅フロア4~27階、38~49階、ホテルフロア28~37階)。11月15日に抽選分譲した上層階が対象の第1期1次130戸の価格は5,280万~108,000万円(最多価格帯11,000万円台)、専有面積は38.71~236.06㎡、坪単価650万円。竣工予定は2024年1月下旬。施工は竹中工務店。設計は日建設計。デザイン監修はSTUDIO PIET BOON。

 現地は、竹中工務店本社-電通大阪支社跡地。〝旅とアート〟をコンセプトに、国際水準の機能を備えた住宅とラグジュアリーホテルブランド「Four Seasons Hotel」と共同開発した超高層複合タワーで、設計を担当する日建設計のチーフデザインオフィサー・大谷弘明氏による「帆」をイメージさせる優美な外観デザインが特徴。また、大阪で初めて「宿泊施設の整備に着目した容積率緩和制度」の適用による特定街区の都市計画決定を受けており、法定容積率480%から1200%へ大幅に緩和されている。

 主な基本性能・設備仕様は、木製玄関ドア、二重床・二重天井、リビング天井高2.7~4.0m、ディスポーザー、食洗機、Low-Eガラス、ジーマティックキッチン、VOLA社・ドンブラハ社製水栓、JAXSON社製浴槽など。2階と43階にコンシェルジュを配置し、エントランス部分に警備員が常駐。最上階にはラウンジ・パーティルームをはじめとした共用施設を設置するほか、アート監修の南條史生氏のキュレーションにより7氏のアート50点超が共用部分に配置される。

 物件の統括所長・加藍憲一氏は、「反響は大阪が7割、東京と兵庫、その他がそれぞれ1割。立地条件をカバーするホテルと一体とした意匠・デザイン、商品企画が高い評価を得ています。第1期1次130戸の登録件数は約540件。12月上旬に予定している第1期2次50戸と合わせ即日完売する可能性が高い」と語っている。

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完成予想図(合成)

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ギャラリーラウンジ

◇       ◆     ◇

 最初に断っておく。記者は関西圏のマンションは数えるほどしか見学していない。トータルで20件あるかどうかだろう。大阪の市場もまったく分からない。以下は、あくまでの記者の独断と偏見に満ちた記事だ。

 見学したのは11月23日(火)の祝日だった。取材を許可して頂いた同社広報と、顧客対応に忙しいはずなのに快く対応していただいた統括部長の加藍氏にお礼申し上げる。加藍氏とはRBA野球大会を通じて以前からお付き合いしていただいており、久々にお会いできるのを楽しみにしていた。昨年4月から単身赴任されているようで、持病の痛風も治まりつつあると聞いた。何よりだ。

 販売事務所を訪れる前に現地を見た。用途地域は商業地域だが、大小のビル、マンション、店舗などが混在しており、準工ではないのかと思った。「堂島」は小説の舞台にもなっているのでよく知ってはいたが、街並みはイメージしていた「銀座」とは全く異なっていた。

 販売事務所は、それぞれ2層はありそうなシアター、模型コーナー(模型は35分の1)などはこれまで観た大阪の好調物件と同等ではないか。

 75㎡と127㎡のモデルルームはシンプルなデザインで、都内のこのクラスの物件と比較してそん色ないと思った(大阪市内ではトップクラスなのだろう)。

 驚いたのは、ピエト・ブーン氏が手掛けた236㎡のモデルルームだった。木製でナグリ仕上げの玄関扉は、単価を考えたらこれもありだと判断したが、扉を開けたとたん6畳大はありそうな白が基調のホワイエが目の前に飛び込んできた。昭和57年に見学した「広尾ガーデンヒルズ」のモデルルームがまざまざと蘇った。そこも玄関ホールは6畳大あった。

 次に66.8畳大のLDK、32.7畳大の主寝室、ドレッシングルーム、浴室、トイレなどを見て回ったのだが、今度は「これほど〝美しい〟マンション見たことない」という見出しを付けた平成19年の鹿島建設「加賀レジデンス」が思い出された。

 一分の隙もない端正なきりりとした美しさが際立った「加賀」とは異なる、曲線を多用した優美な白の美しさに言葉を失った。シアターに映し出された〝どうみても美しく、どう考えてもおもしろい〟というキャッチコピーに嘘はないと思った。このコピーライターもただものではないと。

 そこで考えた。この美しさを何に例えたらいいか。しんと静まった雪原に舞い降りた一羽のツルか、それとも空の青にも海の青にも染まず漂う大海原の白鳥か、あるいは立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花の女性か。女性でいえば、きらきら輝く光沢があるシルクもいいが、記者などは木綿の白襦袢に白足袋の女性に背筋がゾクッとする。そんな白だった。

 モデルルームに使用されている什器・食器類も、釉薬を掛けていない素焼(テラコッタ)が多かったのではないか(よく観察すべきだった)。そこにも抑制された白の美しさがあった。

 さらにまた考えた。70歳を超えボケも始まったのではないかと自覚する記者の39年前、14年前のマンションの記憶を蘇らせるピエト・ブーン氏は何者なのか、どのような感性の持ち主なのかと。

 白が基調の販売事務所、モデルルームはたくさん見てきた。白はどのような家具とも調和する。無難な色ではある。しかし、安物のケミカル製品だと雰囲気をぶち壊すこともある。光の乱反射、跳ね返りによって目がくらみ、疲れることもある危険性もはらむ。ピエト・ブーン氏の白はそれがない。すべてを受け入れる優しい白だった。

 東京建物のプレス・リリースには、同氏は「オランダ生まれのデザイナー。そのものづくりや天然素材への情熱、インスピレーションは育ってきた母国や家族環境の中で培った伝統に基づく創造と彼自身の挑戦的な精神によるものである」とあり、別のネットには「彼のデザインスタイルは、クラシックでエレガントです。天然材とくすんだ色の組み合わせ、本格的なスタイル」とあった。63歳のようだ。

 なるほど、ヒントは「天然材とくすんだ色の組み合わせ」だ。同氏を起用したのは日建設計か東京建物かFour Seasons Hotelか分からないが、これもコラボの大きな成果だろう。

 東京建物は、メジャーセブンの中で唯一大阪ではマンションの供給実績は少ないはずで、だからこそ〝負けないぞ〟という意地が働いたのか、あるいはまた、価格は東京の2分の1で、基本性能・設備仕様レベルも落ちる大阪の市場を知らなかったのが幸いしたのか。いずれにしろ、大阪のマンション市場に一石も二石も投じたのは間違いない。歴史を変える物件だ。これがメルクマールになるはずだ。

 「うめきた2期」が楽しみになってきた。〝安かろう悪かろう〟という市場から脱却していただきたい。「近畿」はもともとわが国の中心地だったのだから。天童よしみさんは〝負けたらあかん 負けたらあかんで東京に〟と熱唱しているではないか。

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ピエト・ブーン氏

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ナグリ仕上げの木製玄関扉

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236㎡のモデルルーム

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同上

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同上

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