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2023/12/02(土) 18:33

「アレ」を「暗黒社会」「ファッショ」に置き換えた…千代田区の仮処分申立書

投稿者:  牧田司

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神田警察通り第Ⅰ工区のイチョウの落ち葉(11月30日写す) 

  昨日(12月1日)行われた「神田警察通りの街路樹を守る会」緊急記者会見から一夜開けたこの日(2日)、会見を報じたメディアは2段見出しの東京新聞(50行はあったか)とベタ扱いの朝日新聞(20行くらいか)のみ。日経も読売も毎日も(産経は確認しなかった)1行もなし。記者会見と同じ日に選ばれた今年の「新語・流行語大賞」の「アレ」を「仮処分申立書」=「暗黒社会」「ファッショ」「テロ」に置き換えて考えてみた。

 申立書の趣旨には「(工事現場の)土地について、午後8時ないし翌日午前6時までの間、債務者自ら又は債務者と意を通じた第三者をして、座込み、自動車の駐車その他の方法により、立ち入り、又は、立ち入らせてはならない」とあり、「申立ての理由」には「債務者らは工事に反対し、たびたび工事を妨害するため、工事が実施できていない」とある。

 小生はこの文言に震え上がった。「債務者ら」とあるように、「ら」抜きではなく「ら」付きであることに注意する必要がある。文脈からすれば、現在の債務者10人にとどまらず「債務者と意を通じた第三者」もまた債務者に転落(イチョウの側からすれば名誉市民に昇格か)する危険性をはらむ。昨日も書いたように「工事妨害」の定義はないので、現場付近をぶらつくだけで「工事妨害」とみなされ、酔っぱらいを含め「工事に反対する」全ての人が「公務執行妨害者」の烙印を押されかねない。これはもう戒厳令下の赤の広場か天安門広場だ。

 小心者の小生は「債務者と意を通じた第三者」になりうるか、大城弁護士に訪ねたのだが、大城氏は否定も肯定もしなかった。

 何度も書いているが、小生は「イチョウの味方」-つまりイチョウは道路の付属物だから区の財産でもある。広義にとらえれば、小生の言動・記事は千代田区だけでなく全国の自治体の利益につながるはずだ。もう一人の小生が〝もっと書け〟と背中を押している。

 ついでに、わが多摩市の対応について紹介する。市は令和3年、市議会で議決されたレンガ坂のユリノキ伐採工事説明会を開いた。伐採しないでほしいなどの声が寄せられたことから、市は計画を変更し、約100本のうち19本を残すことにした。工事については、安全性の観点から夜間工事はありうるとしながら、夜間工事はコストもかかることから、ユリノキの伐採は昼間に行ったはずだ。

 また、図書館の新設に伴う中央公園内の樹木を伐採する際の令和3年4月、には、市は小学生などを対象に「樹木伐採起工式」を行い、阿部市長と藤原マサノリ多摩市議会議長の挨拶、多摩グリーンボランティア森木会(かつて内閣総理大臣賞を受賞)の川添会長の指示のもとで、参加者は樹木伐採作業を体験した。

 千代田区が行っているのは真逆だ。住民をだまし討ちにし、人間にすれば志学の15歳か、破瓜の16歳か、芳紀の18歳か、伸び盛りのイチョウの死刑を執行しようとしている。人倫にもとる蛮行だ。「たびたび工事を妨害」とあるが、工事を行う場合は事前に住民に告知する約束ではなかったのか。約束をほごにしたから住民が行動を起こした。今回の騒動の責任は全て行政にある。

 曲がりなりにも憲法でわが国民は、基本的人権は侵すことのできない永久の権利として保障され、思想、信条、宗教、集会、結社、言論、行動を含む一切の自由を有するわれわれが、突如として「公務執行妨害者」とみなされることになりかねないことを、申告書は示している。権力が〝怪しい〟と判断したら、債務者は365日24時間監視される社会になる。

 千代田区長、この仮処分申告書を即刻取り下げていただきたい。申告が受理されたら全国に燎原の火のごとく広がる。貴殿はごく一部の「権力」の英雄に祭り上げられるかもしれないが、長い歴史で考えれば「全体主義へ道を開いた男」へ転落する危険性もある。千代田区民もまた歴史的選択を迫られている。自由かファッショか。

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神田警察通り第Ⅰ工区(イチョウは残された)

◇        ◆     ◇

 反社勢力と何ら変わらない「公務妨害者」の烙印を押された債務者の方々には酷だが、書かざるを得ない。刑法第59条には「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する」と明示されている。債務者10人の方は、この公務執行妨害罪に問われる可能性がある。怪我をさせたら傷害罪に問われることにもなりかねない。

 区は用意周到。イチョウがどうなろうと全然考えていない。皆さんを陥れることしか考えていないことを申告書は証明している。例えば、「令和5年4月11日の妨害工事」には次のようにある。

 「債務者●●●は、同日午前4時32分頃、作業帯内付近を警備していた訴外シンティ警備の警備員の胸ぐらをつかむ暴行に及んだ…その後、債務者●●●が、千代田通り側に急に走り出し、規制帯の端にたどり着くと、カラーコーン及びバーを取り外して作業帯内に突入した。そして、そこにいた訴外大林道路の作業員により制止されるや、同作業員を突き飛ばし、同作業員の背後にいた債権者の職員を転倒させる暴行に及んだ(証拠資料として診断書)。これにより債権者の職員は、腰椎椎間板ヘルニアの急性増悪等により6か月の療養を要する見込みの傷害を負った(証拠の診断書)」

 申告書の記述は具体的だ。証拠資料としてはほぼ完ぺきに揃っている。区は4月17日付で神田警察署に被害届を提出し受理された。産経も含めてマスコミはこれを報じだ。公務執行妨害、暴行、傷害罪に問われたようだ。(メディアの怖いところだ)

 この件だけでなく、申告書の債務者の言動、行動は、建築物の監理業務でかなり普及している音声付き高感度カメラで詳細に記録されているはずだ。債務者の方が「写真撮影は、工事を妨害しているという証拠づくりとしか思えない」と話したが、その通りだと思う。小生が行政担当だったら間違いなくそうする。その道のプロを雇い、債務者の一部始終を記録する。無謬の「公務」だから犯罪に問われることはない。顔認証も普及しているので、債務者の行動はその後も追尾されている可能性がある。申告書が受理されたら、工事が終わるまで追跡される。区は債務者が日常生活に支障をきたすことなど考えていないはずだ。

 そこで債務者の皆さんに提案だ。これまでの活動に全国670万本の街路樹になり代わってお礼申し上げる。しかし、体が心配だ。〝わび状〟を一筆入れるのも一法だと思うがいかがか。〝泣く子と地頭には勝てぬ〟を実証する絶好の機会だ。イチョウが見事に死刑執行されるのを晴着を着て、日の丸の小旗を振って〝日本帝国万歳!〟の拍手・万歳三唱でもって見届けようではないか。みんな死ぬために生きているのだから。

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神田警察署前の道路工事

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