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2024/02/01(木) 13:17

反社への譲渡禁止を マンションの実態把握していない自治体が圧倒的多数 国交省会合

投稿者:  牧田司

 国土交通省は1月31日、マンション標準管理規約の見直しについて検討する第4回「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」(座長:齊藤広子・横浜市立大学国際教養学部教授)を開催した。

 改正「マンション標準管理規約」について、第19条に追加される専有部分の貸与について委員の方が、「『区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない』とあるが、反社勢力などへの譲渡を防ぐためにも、譲渡も含めるべきではないかと」質問した。

 これに対して別の委員は「業者との売買契約には反社を排除する項目があるから必要ないのではないか」とする旨の発言があった。

 確かに不動産業者を介した売買契約なら反社勢力は排除できるだろうが、反社勢力に譲渡しようと考える人は、果たして不動産業者を介するだろうか。

 記者は、この19条には「不動産会社を介さないで直接第三者に譲渡する場合」などを加えるべきだと思う。

 この点については、同法第67条(理事長の勧告及び指示等)には「区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる」とある。

 これはこれで結構だが、意図的に反社勢力に譲渡とした人の罪は問われない。いかがなものか。

 「管理計画認定制度」については議論百出した。

 同制度は、令和4年4月からスタートしたもので、マンション管理適正化推進計画を作成した地方公共団体が一定の基準を満たすマンションを認定するもの。令和5年12月末現在、認定実績は378件(国土交通省が把握しているもの)となっている。地方自治体別の認定実績は神奈川県が90件、東京都が82件のほかは、埼玉県、愛知県、大阪府、兵庫県が20件台で続き、認定実績がない自治体は8割に達している。記者はこの「管理計画認定制度」をよく知らないし、多いか少ないか判断もできないが、多くの委員からは「認定基準のハードルが高すぎる」「管理組合、居住者にとってインセンティブがない」「行政のマンパワー不足」などの声が聞かれた。

 ここに割って入り、快刀、乱麻を断ったのが、戎正晴委員(弁護士)だった。戎氏は「自治体が推進計画を作成するのは義務付けるべき。マンションの実態を把握するのは義務ではないか。全てのマンションに管理の実態を届けるようにし、一定水準以上を認定すればいい」と話した。この意見に賛成なのか反対なのか分からなかったが、齊藤座長は「届け出制にしろということですか」と答えた。

 記者も、戸建て居住者との公平性をどう担保するかだが、基本的には戎氏の意見に賛成だ。どこにどのようなマンションを含む共同・集合住宅が建っているのか実態を把握できていなかったら、災害時の対応などできないではないか。(登録が伸びないのは、災害時に公助など受けられないとみんな思っているからではないか)

 今後どうするかだが、マンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」と連携すべきだと思う。同管理協の登録件数は2千件を突破した模様で、今年度中に1万件登録を目指している。★5つの〝優等生〟だけでなく、★一つや二つの〝劣等生〟にも「ここをこうすればランクが上がる」などと希望を持たせているのが味噌だ。こんなことは言いたくないが、行政主導で物事がうまくいったためしがない。新築を対象とした予備認定制度も組み合わせるべきという意見には大賛成だ。

 ワーキンググループではこのほか、修繕積立金の3つの「段階増額積立方式」について論議された。記者は「適正な修繕積立金」がいくらなのかさっぱりわからない。

マンション管理適正評価制度の〝見える化〟へ 個社データの公表にも期待(2023/9/15)

 


 

 

 

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