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2024/02/27(火) 12:24

芳紀十八 乙女の絹肌を見た 北山杉の手摺り ナイス本社ビル木質化 新たな発見

投稿者:  牧田司

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節(しみ)ひとつない長さ約9メートルのすべすべ肌の北山杉(2階)

 ナイスの本社ビル木質化リノベーションの一つである本社屋外装木質化と、北山杉を活用した階段手摺り・家具などを見学した。木質化リノベーションは2022年から進められているもので、そのとき見学取材しているのだが、また新たな木の魅力に触れることができた。

 本社ビルの外装木質化工事は2023年12月に完成。スギ本来の長所を維持しつつ表面硬度を高めた同社オリジナルの「GywoodⓇ」、耐久性の高い飫肥杉の赤身部分のみを用いた「ObiREDⓇ」、凸凹形状を生み出す「凸凹GywoodⓇ」技術を採用し、木の持つあたたかみを演出したもので、木材使用量は約11.2㎥、炭素貯蔵量は二単価酸素換算で6.5t-CO2。塗装を施した部分と無塗装の部分に分け、経年による変化を検証し、需要拡大、商品開発に生かす。

 北山杉の活用は、北山林業の持続的かつ健全な発展や、北山杉の利用促進に関する相互連携等を図ることを目的に締結された「建築物等における北山杉の利用促進協定」に基づいて実施されたもので、2023年2月に完成。1階ロビーや2階の接客スペースに北山杉の磨き丸太(枝締め・本仕込み)が採用されている。

 北山丸太は、昭和以降に和室の床柱としてピーク時の平成元年には約24万本が生産されたが、和室の減少により需要が低迷し、育林から加工まで一般的な丸太の数倍以上の手間がかかる後継者の高齢化、担い手不足から技術の伝承が大きな課題といわれている。

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北山杉の1階手摺り

714図1温かな印象となった本社ビル外装.jpg
外装木質化

◇        ◆     ◇

 百聞は一見に如かずとはこのことを言う。北山杉は東山魁夷の版画、その他写真・映像などでたくさん見てきたが、実際に仔細に眺め、触れ、香りをかぐのは初めてだった。もう50数年も昔の、あのすべやかなしみ一つない絹肌の、まさに芳紀十八、乙女とのほろ苦い出会いがよみがえった。

 育林から加工まで一般的な丸太の数倍以上の手間がかかるという600年の歴史を持つわが国の伝統技術の凄さも伝わってきた。

 「枝締め」とは「伐採する前の年の冬11~3月頃、枝を適度に打ち落として太りを抑えます。こうすることで木肌が引き締まり、表面の干割れを抑え、また色艶、光沢を良くする効果が得られる」(京都北山丸太生産協同組合ホームページ)作業のことで、「本仕込み」とは「伐採した丸太を山で立たせたままの状態で皮を剥き、天日で乾燥させるもの」(京都市ホームページ)とある。

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北山杉を用いたソファ、テーブル

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外装

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外装

素晴らしいの一語 市民に開放を ナイス 本社ビル木質化リノベ/対照的な歩道の雑草(2022/6/27)

 

 

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