ナイスが創立70周年記念プロジェクトの一環として木質化リノベーションした本社ビルを見学した。素晴らしいの一語だ。市民に開放してほしい。
リノベーションは、コンセプトである「脱炭素・木質化の推進、アフターコロナにおける社員間コミュニケーションの創造」を具現化するため、新しい空間提案「WoWooD™(ワウッド)」の取り組みを髄所に盛り込んでいる。
1階エントランスホールの受付背面には高さ6mの天井までスギの大径木を施したほか、約140㎡のロビーのフローリングには飫肥杉の赤身材を活用した「Gywood®」を使用し、老舗家具メーカー柏木工とのコラボによるテーブルとソファを設えている。新設した戸建て住宅のミニ版「キッズハウス」には木質繊維断熱材の「ウッドファイバー™」を採用し、床はクリ材のナグリ仕上げ。
2階の接客スペースの受付カウンターにはヒノキ、オニグルミ、ヤマザクラ、コウヤマキを採用。壁には柿渋塗装を施している。6部屋にはクリ、クルミ、ナラ、ヒノキ、サクラ、スギのそれぞれ異なる樹種を使用。樹種によって異なる木目やさわり心地が体感できるようにしている。大会議室の会議用テーブルは、既存の天板・幕板を「Gywood®」に張り替え、腰壁には「凸凹「Gywood®」を採用している。
7階のコワーキングスペースは、木質化を実施することで作業効率の向上や疲労軽減効果を図っている。
今回の内装木質化による木材利用量は約23㎥、CO2貯蔵量は約13t。スギ1本が1年間に固定する二酸化炭素の量を約14kgとした場合、約930本に相当する。設計・工事は乃村工藝社が担当した。
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商業施設では虎屋の本社・店舗が素晴らしく、三井デザインテックの本社ビルの緑化も凄いとは聞いているが、これほど本物の木を内装に使用している本社ビルは見たことがない。一緒に見学した同業の記者の方はその馥郁たる香りに感嘆の声をあげていた。森林浴でもしている気分になったのではないか。
記者も同じだ。最高の面材と考えているクルミやサクラ、すべらかなスギ材やヒノキ材の「Gywood®」は頬ずりしたくなるほどだった。机にしても下敷きなど必要ない。壁などには防虫効果、防腐効果、防水効果がある柿渋が使用されていると聞き舞い上がった。菊池建設が松竹梅をテーマにデザインした応接室もいい。
そこで同社に提案だ。これだけではもったいない。同社の仲介店舗では「住まいるCafé」として顧客に開放しているように、7階のコワーキングスペースは市民に開放してはいかがか。本棚には社員や市民から募って〝私のお勧めの3冊〟などを借り受け、貸し出しを行うのもいい。顧客満足度は飛躍的にアップすること請け合いだ。
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取材は素晴らしかったのだが、その分理解しがたい、わが多摩市のグリーンボランティア活動や公園・道路のアダプトと対照的な光景にも出くわした。鶴見駅から同社の本社ビルまでの道すがら、街路樹を観察した。東口中央通りのケヤキやクスノキの剪定はまずまずだが、植栽帯にはオオアレチノギク(多分)やススキなどの雑草が生い茂り、本社ビルの目の前、国道15号線の中央分離帯は小山のように雑草が繁茂していた。
とても残念に思ったのだが、取材を終え駅に戻る途中には、「さわやかまちかど 東口中央通り ハマロード・サポーター この道はナイスグループが清掃活動をしています」との看板が道路端に掲げられていた。同社ホームページでも確認した。CSR活動の一環である清掃活動は市から「ハマロード・サポーター」に認定されている。
同社の野球部の皆さん。今年もRBA野球大会は中止となった。3年連続だ。有り余る力を発揮する場を失って嘆いているはずだ。企業市民の代表として雑草狩りをやってほしい。声を掛けてもらったら取材にすっ飛んでいく。
実に美しいケヤキの剪定 ムクドリ対策 柏の葉キャンパス駅前の街路樹(2022/6/27)