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2024/02/29(木) 18:48

「知の結集。やればできる」齊藤審査委員長が激賞 管理協 バリューアップアワード

投稿者:  牧田司

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「マンション・バリューアップ・アワード2023」(住宅金融支援機構「すまい・るホール」で)

 マンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)は2月28日、「マンション・バリューアップ・アワード2023」を開催し、「マンションライフ」、「工事・メンテナンス」、「防災・防犯」、「管理組合運営」、「マンション管理適正評価」の5部門の受賞事例発表会と授賞式を行った。

 アワードは、マンションの住み心地(居住価値)を高めるための取組や提案、建物資産の維持・向上のための取組や提案を募集・顕彰するもので、2017年の第1回から5回目。423 件の応募があった。

 受賞事例発表会で、審査委員長の齊藤広子・横浜市立大学国際教養学部教授は「まさに知の結集。日本全国のマンション管理の取り組みに、わたしは夢と希望、知恵と勇気を頂いた。やっぱり、やればできる、やらなきゃできない、今日、改めてやればできるというキーワードを頂いた」と切り出し、いつもの歌うように「素晴らしい」「魅力的ですね」「いいですね」「凄いですね」「素敵ですね」「こんなマンションに住みたい」を連発し、「来年もお会いしましょう」と講評した。万雷の拍手が沸き起こった。

 授賞式で、主催者を代表して高松理事長は「作品は非常にいい内容ばかりで、まさに審査員泣かせ。今回の作品で感じたのは、DX化の流れがマンション管理にもたくさん入ってきたこと。紙からデジタルへの動きが急速に高まっている。この流れは加速する。また、マンション適正管理制度を推進している当協会としては、(片岡さんが)グランプリに輝いたのは大変心強い」と締めくくった。

 最高のグランプリは、マンション管理適正評価部門(応募27作品)の最優秀賞に選ばれたJワザック両国管理組合理事長・片岡忠朗氏で、「★2つから★5つへの大幅な評価UPを実現!~いかにして1年後に大幅な評価UPを実現することができたのか!?~」がテーマ。片岡氏は「適正管理評価制度が創設されてから3年が経過するが、適切な管理を実現するには必要不可欠な制度であることを全国の管理組合に伝えたかった」と受賞の喜びを語った。

 その他の各部門受賞者は次の通り。賞金は、各部門賞が10万円、グランプリは部門賞プラス30万円の合計40万円。

マンションライフ部門(応募162作品) 宮前平グリーンハイツ管理組合&大成有楽不動産・川村章司氏「閉鎖したプール跡地を新たな多世代交流の拠点として再生~築50年超となる大規模マンションの共用部リニューアル計画~」

工事・メンテナンス部門(応募98作品) 野村不動産パートナーズ・桒原千朗氏「複数の大型工事が到来する高経年マンションの課題解決に向けた修繕積立金会計の健全化プロジェクト」

・防災・防犯部門(応募67作品) グランアヴェニュー末永浩二氏「堺北花田グランアヴェニュー防災会 大規模マンションの持続可能な防災活動の取組」

・管理組合運営部門(応募69作品) 東急コミュニティー・米藤健太氏「共創により『マンション管理エコシステム』を創出する管理業務への転換」

 詳細は同協会はホームページ「マンション・バリューアップ・アワード2023」

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齊藤氏(左)と高松氏

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片岡氏

◇        ◆     ◇

 齊藤氏をはじめ各審査委員の方も絶賛したように、素晴しいアワードだった。全てのプレゼンを聞き、グランプリを獲得するのは片岡氏だろうと予想したが、その通りの結果となった。管理協が全力で取り組んでいるマンション適正管理評価をテーマにしたのがよかったのだが、プレゼンの内容も衝撃的だった。

 同制度の★2つ(42点)の、しかも最下位(2022年10月30日時点でのマンション管理適正評価サイト掲載物件97件中97位)の劣等生(失礼)がわずか1年で★5つ(94点)を獲得するなんてありえないではないか。さらにまた、劣等生の汚名を返上するため、4倍以上(金額は公表されなかったが万単位のはず)の修繕積立金の値上げを総会に提案し、同意を得らたことだ。これまた信じられない。

 もう一つ衝撃を受けたのは、齊藤氏が講評で開口一番、「知の結集(結晶か)」と語ったことだ。上段で書いたように、齊藤氏はヒバリかウグイスのような美声で歌うように語ったのだが、記者は腸をわしづかみされたようにズシリとこたえた。作家の保坂和志氏が「小説、世界の奏でる音楽」(新潮社、2008年刊)の中で「文=知は武と同じくらい命がけなのだ」と書かれていたのを思い出したからだ。(記者は生きている間に1本でも命がけの記事を書きたいと思っているのだが、実現することはないこともよくわかっている)

 そこで、齊藤氏や関係者の皆さんにお願いだ。 この「知の結集」を受賞セレモニーだけで終わらせるのはもったいない。管理協はもちろん管理組合、居住者、さらには国や自治体関係者が共有し、より安心・安全で持続可能なマンション管理の取り組みにつなげないといけない。

 なぜこんなことをいうかといえば、記者は、国土交通省「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」の第4回と第5回を視聴した。

 大変失礼だが〝会議は踊る、されど進まず〟の印象を受けた。管理計画制度の普及が進まない理由として、管理会社の協力が得られないとか申請のバードルが高すぎる、メリットがないなどの声はそれぞれ理解したが、あれやこれや論評、解釈するのではなく、どう実のある制度にするかの当事者意識が欠落していると感じた。

 論より証拠だ。今回のアワードで発表された具体の事例をマンション管理組合関係者、居住者も含めて学べる機会を設けてはどうか。協会ホームページには佳作も含めた事例が紹介されてはいるが、提案者から直接話を聞くのとでは大違いだ。「審査員泣かせ」と高松理事長も話したように、視点が異なれば結果は異なったかもしれない。

マンション管理計画認定制度の普及、基準見直し論議国交省ワーキンググループ(2024/2/27)

「素晴らしい」審査員激賞 マンション管理協「バリューアップ・アワード2021」(2022/2/22)

 

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