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2023/07/31(月) 16:12

「昭島」第1期は200戸、坪250万円 「徳山」が完売 大和ハウス マンション説明会

投稿者:  牧田司

 大和ハウス工業は7月31日、「マンション事業計画説明会」を開催し、同社執行役員マンション事業本部長・富樫紀夫氏が今後の展開などについて説明した。戸数競争に巻き込まれる入札案件よりも、同社の総合力を生かし収益重視の付加価値の高い建て替え、再開発、複合案件などに絞り込み、年間4,000億円、2,000戸前後を安定的に供給していくと語った。

 同社本体のほかコスモスイニシア、大和ライフネクスト、海外事業を含めたマンション事業の前期売上高は4,843億円で、営業利益は408億円、営業利益率は8.4%で、今期は売上高4,300億円、営業利益は210億円、営業利益率は4.9%を予定しており、地価や建設費の高騰を考慮し、高付加価値物件の供給に絞ることで、量的な拡大から収益・資金効率重視の事業計画へと転換する。

 定量的な動向について、首都圏マーケットは23区を中心に高値で推移し、近畿圏は価格上昇基調にあるものの、完成在庫の増加など二極化も進むとしている。

 この10年間のマンション市場については、平均価格は首都圏で27.6%、近畿圏で32.6%それぞれ上昇、専有面積は首都圏で6.6%、近畿圏で14.2%狭くなっており、坪単価は首都圏で36.5%、近畿圏で54.2%の上昇となっていると説明した。

 今後の展開では、供給戸数を追うのではなく、付加価値の高いマンションに絞り込むことにより、収益力を拡大していくとし、代表的な再開発物件として「ONE札幌ステーションタワープレミスト」(624戸)、「徳山ザ・レジデンス」(100戸)を挙げ、現在、全国で21件の再開発案件に取り組んでいるとした。

 マンション建て替えでは「高輪一丁目共同開発事業」(280戸)、「プレミスト北浦和ブライトフォート」(87戸)の事例を、複合開発では「新さっぽろ」(総事業費500億円、マンション220戸)、「プレミスト高尾サクラシティ」(416戸)、環境配慮型としては「プレミスト大濠二丁目」(35戸)、「プレミスト昭島 モリパークレジデンス」(481戸)、「船橋グランオアシス・プレミスト船橋塚田」(総事業費260億円、戸建て26区画、マンション571戸、賃貸223戸など)を紹介した。ZEH-Mは2024年度以降の物件に100%採用すると話した。

 このほか、既築建物再生事業「D's VARIE(ディーズバリエ)」や海外事業、マンション管理方式などについて説明。マンション管理では第三者管理方式を「プレミスト大倉山」(241戸)などで実施すると語った。また、ニセコ、沖縄などでは分譲ホテル事業を視野に入れていると述べた。

◇        ◆     ◇

 富樫氏の説明でいささか驚いたことが二つあった。

 ひとつは、「昭島」の坪単価と第1期の救急戸数だ。

 9月中旬に分譲開始する「昭島」の坪単価は250万円で、第1期販売戸数は全戸数481戸の4割超の200戸を予定しており、「9割がたはいけるのではないか」と富樫氏は語った。

 物件見学会が行われた5月の段階で、記者はわが多摩センターでいま分譲されているマンションの坪単価250万円と比べると「『昭島』に軍配を上げざるを得ない」と書いたのだが、マンション購入検討者もまたそのように評価しているのだろう。それにしても「昭島」で一挙に200戸とは凄い。モデルルーム見学会で販売責任者の東京マンション事業部販売事務所長・東本剛氏が「来年の6月までに完売したい」と話したのも現実味を帯びてきた。

 もう一つは、同社ばかりでな入りのだろうが、地方物件が総じて好調なことだ。

 富樫氏が代表物件として紹介した「徳山」。記者は「徳山」といえば徳山曹達しか思い浮かばないのだが、2003年の市町村合併により「徳山市」は消滅し、いまは人口約10万人の周南市となっている。

 そんな市の坪単価200万円の再開発物件が2023年12月の竣工前に売れ、富樫氏が「富裕層の方からは100㎡超を期待していたという声が多かったのは想定外」と話したのに驚くとともに納得もした。

 地域経済が疲弊する地方都市でも富裕層は一定数存在するはずで、そのような層をターゲットとしたマンション分譲事業はあり得るのだろう。同様の例としてタカラレーベン「レーベン宇和島THE MID TOWER」(42戸)も好調だと聞いた。

 考えてみれば、夏はより暑く冬はより寒い、やぶ蚊に刺されながら草むしりをしなければならない旧耐震の戸建てに住むより、マンションのほうがはるかに安心・安全に暮らせる。地方も販売競争が激化しているようだが、まだまだ伸びる余地はあるような気がする。「プレミスト」はともかく「ダイワハウス」のブランドは全国区だ。その強みを今後も一層発揮していくということだろう。

 富樫氏は専有面積圧縮についても触れた。この種の発表会で専有圧縮に触れるのはまれなことで、記者は基本性能・設備仕様の退行についても聞きたかったのだが、そんな質問をすればまた嫌われると、思いとどまった。分譲ホテルは伸びるはずだ。

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