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2015/06/08(月) 00:00

大規模商・住のスマートシティ 大和ハウス他「高尾」はこんな街

投稿者:  牧田司

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「プレミスト高尾サクラシティ」完成予想図

 大和ハウス工業(事業比率80%)とコスモスイニシア(同20%)が6月中旬に分譲開始するマンション「プレミスト高尾サクラシティ」を見学した。この5年間で2棟120戸しか供給されていない高尾駅圏の総戸数416戸の大規模開発で、隣接の敷地には複合商業施設・戸建て・保育園も建設される。坪単価は160万円台の半ばになる模様。大和ハウス関係者は「第1期は即日完売する」と手ごたえを感じていた。

 物件は、JR中央本線・京王高尾線高尾駅から徒歩6分、八王子市東浅川町に位置する14階建て全416戸。専有面積は63.57~92.55㎡、予定価格は2LDKで2,500万円台~、3LDKで2,700万円台~、坪単価は160万円台の半ばになる模様。竣工予定は平成28年2月上旬~28年10月下旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は野村不動産アーバンネット。

 現地は約16,000㎡の沖電気の敷地跡地。敷地に隣接して複合商業施設と戸建て街区が予定されている。保育所・小学校も隣接。「サクラシティ」は既存樹のサクラが市民にも開放され親しまれていたことから名づけられた。

 建物はほとんどが南向きの4棟分節構成で、エネルギー管理システム(MEMS)、地域コミュニティエネルギー管理システム(CEMS)などを駆使してスマートシティを構築する。

 住戸プランは70㎡台のファミリー向けが中心で、モデルルームは、オプションだが本物の木を壁や調度品に用いた提案がいい。

 これまで来場者は500組超。大和ハウス東京本店マンション事業部事業部長・松岡康成氏は「第1期の戸数は未定だが、必ず即日完売する」と自信を見せた。

◇     ◆     ◇

 バブル崩壊までは「高尾」はマンションや分譲戸建ての〝メッカ〟でもあった。都心に近い良好な住宅は1億円を突破していた。ここまで来ないと普通のサラリーマンは戸建ての取得などできなかった。高尾がどのような街であったかを少し紹介しよう。

 記者が真っ先に思い出すのが、「グリーンタウン高尾」(30.7ha、分譲住宅283戸、宅地分譲314区画、合計597区画)、「ホーメストタウン八王子」(34.8ha、総戸数606戸)、「城山手」(29.0ha、総戸数490戸)の3団地だ。分譲時にその都度取材に出かけ記事にしているが、ここで当時の記事を子細に調べる余裕がない。間違っていたらごめんなさいというほかない。

 「グリーンタウン高尾」の分譲開始は昭和60年。事業主は東京都住宅供給公社。高尾駅からバスで15分、土地面積は40~50坪台、建物は31坪以上、価格は3,000万円台の後半。公庫融資が1,000万円くらい付いており、頭金は2,000万円台の後半。公庫のローン金利は10年固定で5.25%、11年目以降は6.15%。施工はハウスメーカーの約10社。

 当時、都公社の分譲事業は低迷を続けており、事業継続をかけたプロジェクトだったが、販売時期が幸いした。まさにバブルの発生時。第1期の分譲住宅は100戸を超えていたが、申し込み倍率は数倍に達した。都公社の担当課長が大喜びしたのを思い出す。

 「ホーメストタウン」はどうか。宮脇檀がランドプランを担当しただけあって素晴らしい街に出来上がった。今でも風格がある。記者の記憶に残る団地の一つだ。

 ただ、開発許可を得るのに難航したため、販売開始はバブル崩壊後の平成5年くらいだった。事業主の殖産住宅は「太平住宅」「日本電建」とともに戸建て分譲の老舗だが、経営難から平成14年、民事再生を申請して破たんした。

 もう一つの「城山手」は相互住宅が事業主で、分譲開始は平成6年。こちらは前2者がバス便だったのに対して徒歩圏であることからまずまずの売れ行きをみせた。価格は6,000万円くらいではなかったか。こちらも街並みが素晴らしかった。

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「グリーンタウン高尾」街並み

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「ホーメストタウン八王子」街並み

◇     ◆     ◇

 この3団地でトータル約1,700戸だ。当時の購入者はほとんど60歳以上になっているはずだ。世帯分離で子世帯が独立、転居するケースが増え、世帯の高齢化にともなう様々な問題を抱えていることは容易に想像がつく。

 大和ハウスの今回のマンションがこれら3団地や周辺の戸建て団地から大量の買い替え・買い増し需要を吸収するのではないか。圏央道へも車で約5分という立地もユーザーの購買意欲を刺激するかもしれない。リニア停車駅の「橋本」にも車で約15分だ。もちろん高尾山も近い。

 地元居住者だけでなく、広域からも集客できるかどうか、「高尾」の魅力を訴えきれるかどうかが販売のカギとなる。

 昔の話をしてもしょうがないのだが、当時のローン金利が5%を超えていたのをいまのユーザーはどうとらえるか。

◇     ◆     ◇

 「サクラシティ」の取材後、「グリーンタウン高尾」と「ホーメストタウン八王子」の街並みを見て回り、お茶でも飲もうと喫茶店に入った。店の名は「カフェ・ド・ラ・ネージュ」。「ラ・ネージュ」はフランス語で「雪」。こじんまりした古風な内装で椅子はカリモク製、床はレンガ張り。二重窓の中には鮮やかな赤のゼラニウムの鉢がたくさん置かれていた。カウンターには白い可憐なドクダミの一枝が、窓側にはユキノシタの花がさりげなく飾られていた。

 ドクダミは記者の大好きな野草だ。誰からも嫌われるが、匂いはすさんだ心を癒してくれる鎮静剤だ。嬉しくなってオーナーのKさんに声を掛けた。

 店の開業は昭和54年で、Kさんは二代目。戦中の昭和18年、神田の生まれ。「高尾も夏は暑いですが、朝晩は涼しい。空気もきれいだし離れられない」と話した。

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「カフェ・ド・ラ・ネージュ」に活けられていたドクダミとユキノシタ

 

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