「中古住宅」の呼称変更に動き出す-優良ストック住宅協議会会長・和田勇氏(積水ハウス積水ハウス会長兼CEO)が「中古住宅という呼び名はイメージが悪い。もっと素敵な名前に変えようではないか」と3月15日に行われた同協議会主催のシンポジウムで提案したが、国土交通省も呼称変更に本気に乗り出す姿勢を見せている。
和田氏の発言は、「スムストック レポート2016 ~既存住宅流通に新しい流れをつくれたのか~」のシンポジウムの開会あいさつや、その後の懇親会で出たもので、来賓としてあいさつした国交相も経験している金子一義衆院議員は、「確かに中古住宅という呼び名は汚い古いというイメージがある。プレミアム住宅はどうか」と応えた。和田氏は「プレミアムも悪くはないが、やはり日本語の冠がいい」とつぶやいた。
また、由木文彦・国交省住宅局長も「省内では27年度から中古住宅を既存住宅にするようにしたが、もっといいネーミングは民間で考えていただきたい」発言した。
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冗談だろうと聞いていたが、スムストックの旗振り役で積水ハウスの会長がみんなを笑わすためだけに発言したとは思えない。
そこで国土交通省住宅局に聞いてみたが、呼称変更はあり得ない話ではなさそうだ。
由木氏も話したように、26年度まで用いていた「中古住宅市場活性化…」などの「中古住宅」という文言をを27年度では「既存住宅・リフォーム市場の活性化」など「既存住宅」に変更している。同省は、「今後呼称や愛称などを含め論議していただいて流通市場の活性化につなげていきたい」としている。
民間の不動産流通経営協会(FRK)でも、平成17年度までは報告書などで「中古住宅」としていたものを18年度から「既存住宅」に変更している。
ただ、不動産流通大手の各社のホームページでは「中古マンション」「中古一戸建て」などとなっており、「既存マンション」「既存一戸建て」にはなっていない。
記者は「新築」も「中古」も一緒だと思う。「中古」がいやなら賃貸など借りられないだろうし、ホテルにも泊まれないではないか。使い古すほどに味が出るのは人間も住宅も一緒だ。意識をどう変えるかだ。
昭和24年に施行された盗品を防ぐのが主目的の「古物営業法」の対象には「住宅」は含まれない。「住宅」は盗むのが難しいと判断されたのだろう。昭和27年施行の「宅建業法」にも「新築」「中古」の文言はない。「新築」「中古」の区別などあまりなかったのではないか。