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2023/11/17(金) 14:34

「彩」「祭」「才」と「愛」をつなぐ 三菱地所「SAAI(サイ)」新東京ビルに移転

投稿者:  牧田司

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1Fバー「変態」(提供:三菱地所)

 三菱地所は11月16日、「新有楽町ビル」に2020年2月開業したワーキングコミュニティ「SAAI Wonder Working Community (サイ ワンダー ワーキング コミュニティ)」(SAAI)を、同ビルの閉館に伴い「新東京ビル」に移転、2023年11月20日にオープンすると発表した。16日、施設を報道陣に公開した。〝熱狂〟〝変態〟〝チーパパ&チーママ〟〝愛〟など魅惑的なフレーズが飛び交い、記者は圧倒された。

 施設は、有楽町の街全体を舞台に、まだ価値の定まりきらない(=microな)人・アイディア・コト・モノをcultivate(交わり・耕し・育み・磨く)し、「次の時代を担うスターが生まれる"仕組み"を有楽町で作り上げる」ことをテーマに2019年12月に立ち上げた「Micro STARs Dev.」(MSD)の活動拠点。

 「SAAI」は、彩(=集うヒトの多様性)、才(=異能・異才が集まる空間)、祭(=出会い、交わり、刺激されるイベント)、斎(=好きなことに集中・没頭できる空間)の意を込めた、「差(SA)」と「愛する(AI)」の言葉を組み合わせた造語。①多種多様な会員が集う「事業創造コミュニティ」、会員専用バーを併設し、人と人をつなぐコミュニティマネージャー「チーパパ&チーママ制度」を採用②事業創造を加速させる各種取り組み(VC招聘プログラム、ビジネスプランコンテスト、事業創造カンファレンスの開催など)が特徴。

 内覧会で同社プロジェクト開発部マネージャー・牧亮平氏は「人と人の横のつながり、偶発的な出会いを大切にしており、レイアウトにも工夫を凝らした。宣伝など行っていないが、会員の8割は紹介。皆さんの熱気を強く感じる」と説明。

 会員として紹介されたSaveExpats代表取締役・岩田竜馬氏は、「大切なのは理解⇒納得⇒共感⇒熱狂」だとし、海外赴任者の健康をサポートする事業は海外拠点を持つ約800社、23か国に広がっていることなどを熱っぽく語った。

 また、ゼロワンブースター事業創造教育部スペシャリスト・ブランスクム 文葉氏は「この種の施設は多拠点化したとき、コミュニティマネージャーが不足しがち。欠けているのは〝愛〟だが、ここには〝愛の源泉〟がある」と話した。

 施設は、東京駅直結、新東京ビル1階他。面積は約827㎡、企画は三菱地所、施設・管理はオープンエー、施工は船場、運営はゼロワンブースター。月額会費は個室会員264,000円~、固定席会員77,000円、フリーデスク会員33,000円、コミュニティ会員16,500円(1時間550円)。

 会員は約300名。開設当時と比較し、資金調達額は16件25億円から30件89億円へ、大企業との連携は7件から15件へ、メディア掲載は53件から156件に増大・拡大している。

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1F御座敷(提供:三菱地所)

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1F_什器(提供:三菱地所)

APT Women参加者の様子__提供:三菱地所.jpg
APT Women参加者の様子(提供:三菱地所)

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ディスカッションの様子(提供:三菱地所)

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成果発表会の様子(提供:三菱地所)

◇      ◆     ◇

 記者は住友不動産が10月24日に開催した「住友不動産ベンチャーサミット」を取材したのだが、会場となった「住友三角ビル」に2,000人超が参加したのに驚いた。熱気にあふれていた。

 一方で、起業後の生存率は3年で50%、5年で40%(スタートアップはもっと低いデータもある)と低いことが気掛かりで、優勝企業に選ばれたLeaner Technologies代表取締役CEO・大平裕介氏にその質問をしたら、大平氏は「スタートアップの内側だけで展開する企業が多く、大企業が応援する体制にないのが課題」と語った。

 今回の施設は、様々な起業家と大企業、投資家などとをつなげ、マッチング・資金調達。メンタリング面で応援する仕組みをしっかり構築していると感じたる。

 施設面積は約827㎡(従前は約1,000㎡)しかなく、同社保有ビル延床面積約3,664千㎡の0.02%にしか過ぎない。売上高に換算したら3億円にも満たない。

 しかし、面積の大小など問題ではない。同社は目先の利益など全然追っていない。いま蒔いた種が数年後、あるいは10年、20年後花が咲き、果実を収穫できることを考えているはずだ。かつて〝人の三井、組織の三菱〟と企業風土が語られたことがあるが、三菱地所は〝人への投資〟を少なくとも30年くらい前から強化してきた。今回の施設もその一つだ。無限の可能性を秘める取り組みだと思う。

 とてもいいと思った施設の設えは、1階ではビール300円、ソフトドリンク100円のバー「変態」、ピッチイベントができるよう階段状の席を設けたスペース、人に背を向けるのではなく、人の気配が感じられる内向き(窓を背)のシートレイアウト。コンビニ、喫煙所が隣にある地階では、黒を基調とした無機質のデザインだが、低学年用の椅子や太陽光パネル、活版ゲラなどの廃材を活用したテーブル、リラックスして会議などができる和室コーナーなど。これらは、本社オフィスのリニューアルとも関連があるはずだ。

 料金も安いはずだ。記者は丸ビルにも新設された「TSUTAYA」の飲み放題・食べ放題の「SHARE LOUNGE」が好きなのだが、飲むなら「TSUTAYA」、仕事するなら「SAAI」がお勧めだ。記者のモットーは〝人生は愛〟〝記事はラブレター〟だ。

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左からブランスクム 氏、岩田市、牧氏

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1F内観

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バー「変態」

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