仲井社長
積水ハウスは8月7日、メディア向け2018年度2Q 経営計画説明会を開き、仲井嘉浩社長が第4次中期経営計画「BEYOND2020に向けた長期ビジョンについて〝住に関する夢〟を1時間以上にわたり語った。
仲井社長は2019年度1月期第2四半期決算については「予想通り」と総括し、多くの時間を長期ビジョンの説明・展望に当てた。
コア事業のビジョンについては、「当社は2020年に60周年を迎えるが、第一フェーズはシェルター機能を備えた〝安心・安全〟を提供し、第二フェーズは〝快適性〟を追求してきた。そして次の30年を志向した第三フェーズは、人生100年時代を背景にIoT、ITなどの先進技術を取り込み、〝世界一幸せな場所〟を提供するパートナー企業になる」と展望。
具体的商品として、新しいライフスタイルの基盤となる「健康」「つながり」「学び」という無形資産を具現化した第一弾の「プラットフォームハウス」を2020年から発売すると話した。
国際事業については、国内の「請負型」「ストック型」「開発型」の3つのビジネスバランスが取れてきたことを受け、海外でも展開していくとし、その実験としていくつかに事業着手していると語った。
また、「ESG(環境経営・社会性向上・ガバナンス向上)経営ビジョン」については、「Eではリーディングカンパニーとしてゼロエネルギー住宅で世界をけん引したい。Sでは女性の活躍なくして成長はない。ダイバーシティを成長のドライバーとしてさらに積極化する。Gでは社内の風通しを良くするのが肝心で、現場で汗をかいている社員の声、アイデアを取り込んでいく」と締めくくった。
◇ ◆ ◇
これまで仲井社長の話を直接聞く機会は少なかったが、阿部俊則会長に負けず劣らずの口達者な方だという印象を受けた。
今の世の中は、経済的にも政治的にも文化的にもどんどん委縮し、善と悪も生と死も愛と憎しみも背中合わせ、紙一重の、どちらか判断が付かないという意味で記者は「白内障の世の中」ではないかと悲観的に考えている。住宅だって、家とも呼べない貧しい家が増殖するばかりで、マンションも普通のファミリーは都内23区で取得が難しくなってきている。
しかし、仲井氏の話にはそんな暗い世界はみじんもない。語ったのは「人間愛」であり「幸せ」「夢」だった。〝ベランダがドローンの発着場になる〟〝家庭に備えられている3Dプリンターでおばあちゃんからの贈り物が受け取れる〟〝寝たままで健康管理ができる〟などと語った辺りでは笑うしかなかった。
なぜ夢が語れるのか。やはり「家」に特化し、ぶれることなく深耕してきたのが結果を生み開花し、そしてまた、「白内障の世の中」であるからこそ明確な方向性を示す事業が異彩を放っているのかもしれない。
〝幸せ(人間愛)〟のさらなる追求に期待 積水ハウスがわが国初の「幸せ」研究所(2018/7/27)
「人間愛」「夢」「無形資産」を語る 積水ハウス仲井社長 入社式訓示(2018/4/1)