〝下村、打てるもんなら打ってみよ〟ミサワ古市
三菱地所ハウスネット(82.7⇒83) 0-4 ミサワホーム東京(85)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合 計 | |||
三菱地所ハウスネット | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||
ミサワホーム東京 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 | x | 4 |
(時間切れ)
ミサワ井町
ミサワホーム東京が完勝。エース古市が完封勝ち。井町が決勝打を放った。創価大の古市-下村の先輩後輩の対決は記者の見た限りでは、血沸き肉躍るの生死を掛けた戦いというより田舎芝居同様、アリ-猪木(知っている人はいないか)対決のように盛り上がりを欠いた。
試合後、ミサワ岡崎監督は「うちにスターはいない。組織のチーム。全員の勝利むなどと殊勝な言葉でもって締めくくった。決勝打を放った井町は「…」と笑みを浮かべるだけでなにもしゃべらなかった。
ハウスネットは気の毒で、敗者の弁を聞くのを忘れた。
ハウスネット脇田投手
◇ ◆ ◇
初球は明らかなボール
6球目、ボールは真後ろに飛んだようにタイミングはあっていたように映った
創価大硬式野球部の2年先輩後輩の関係にあるミサワ古市-ハウスネット下村の同窓対決の初打席だけはしっかり見た。
1回の表。左打席に1番打者の下村は立った。打ち気満々と見えた。古市が投げた初球は明らかにボールのスライダー。2球目は外のストレートでストライク。3球目も同じストレートでボール。4球目も同じコースのストレートでストライク。5球目も外のストレートでボール。カウント3-2。そして6球目。ストレートを下村は打ち損じたのか辛うじて当てたか判然としないがファウル。7球目は勝負球のカットボールだったかもしれないが、ボールからボールで下村は悠然と見送り(内心までは読めなかった)四球を選んだ。
ここまでは下村の勝ち。いい打者とは四死球で塁に出る打者だ。軍配を下村に挙げた。
しかし、ここからの展開は全く予想外。下村は足が速い。だから1番だ。記者は120%盗塁を試みると思った。ところがあにはからんや。先輩の投球に見惚れたわけでもあるまいに、下村は走るそぶりすら見せないではないか。
2番打者の丸井は力ないセカンドフライ、森がいないこの日の主砲、3番左の佐々木は大飛球を右翼に運んだがアウト。4番向井のショートゴロで下村は二封されてチェンジ。
対決後の下村のコメントがまた意味不明。「あそこで走ったら、あとでなんやかやと言われるじゃないですか」と。
この言葉は、いろいろ忖度すれば、盗塁が成功した際にはハウスネットナインに〝さすが下村〟と多少の称賛を浴びるかもしれないが、失敗でもすれば〝情けない奴、わきの下か鼻薬を嗅がされ、袖の下でも古市からもらっているんじゃないか〟と痛くない腹を探られかねない不安のほうが勝ったために、ここは賛辞も蔑みも受けない、成り行き任せの最終決断を下したのではないかと記者は結論づけた。
ひよっとすると、あの温和そうな古市は、マウンドで〝走るなよ、走ったらただじゃ置かないぞ〟と、カエルを見る毒蛇のような殺意を込めた白眼を送り続け、ために〝右玉〟の地所リアルの橋本のような意気地がない下村は〝両玉〟が縮みあがり、足がすくんだとも考えられないことはない。そういえば、もともと色白の下村の顔は青ざめていたように見えなくもなかった。
対するミサワと言えば、その裏、先頭の松宮は下村と同じように四球を選び出塁した。2番寺原が三振したあと、盗塁を試み失敗した。しかし、この差が試合の雌雄を決したのではないか。