三井不動産 今期戸建て分譲 過去14年間で最多の950戸
同社が昨年分譲した「ファインコート目黒」
三井不動産の平成25年3月期決算は、「賃貸」「分譲」「マネジメント」の主要3セグメントで増収増益となったことから売上高は過去最高の1兆4,456億円、前期比1,075億円(8.0%)の増収、営業利益は1,481億円、同比221億円(17.6%)の増益、経常利益は1,230億円、同比205億円(20.1%)の増益、当期純利益は594億円、同比93億円(18.6%)の増益となった。
次期は売上高1兆5,300億円(前期比5.8%増)、営業利益1,600億円(同8.0%増)、経常利益1,320億円(同7.3%増)、当期純利益650億円(同9.3%増)を予想している。
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同社の売上高が過去最高となったのは、ここ10年ぐらい賃貸ビルや商業施設を積極的に増やし、マンションや戸建て分譲もコンスタントに販売してきたので当然の数字だと思う。有利子負債は2兆1,202億円と2兆円を突破したが、金利安が続いており業績を圧迫するまでにはいたっておらず、首都圏オフィスビルの空室率も3.8%(前期末4.4%)と低下しており、分譲住宅の完成在庫もマンション223戸、戸建て57戸の合計280戸(前期末404戸)と大幅に減少している。
売上高の過去最高は平成21年3月期の1兆4,189億円で、営業利益と経常利益の過去最高は平成20年3月期のそれぞれ1,792億円、1,628億円だ。このまま推移すれば来期あたりに営業利益、経常利益とも過去最高を達成しそうだ。
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記者が注目したのは戸建ての収益と戸数だ。当期は464億円(前期比30億円増)、795戸(同9戸減)で、戸当たり単価は5,848万円(同450万円増)となったが、次期の戸数は950戸(同19.5%増)を予定している。
以下に同社の戸建の収益と戸数を紹介する。
・ 2000年3月期 475億円 821戸
・ 2001年3月期 432億円 769戸
・ 2002年3月期 462億円 900戸
・ 2003年3月期 469億円 921戸
・ 2004年3月期 396億円 841戸
・ 2005年3月期 330億円 676戸
・ 2006年3月期 355億円 706戸
・ 2007年3月期 354億円 707戸
・ 2008年3月期 353億円 713戸
・ 2009年3月期 301億円 572戸
・ 2010年3月期 444億円 829戸
・ 2011年3月期 502億円 925戸
・ 2012年3月期 434億円 804戸
・ 2013年3月期 464億円 795戸
つまり950戸という戸数は過去14年間で最多になる。2000年3月期以前の数字は把握していないが、同社はバブル崩壊後、自社開発による面開発は行なっておらず、あるいはバブル崩壊後でも最多となるかもしれない。
マンションほど戸建ての販売戸数はマスコミも注目しないが、一建設グループを筆頭とするいわゆるパワービルダーやハウスメーカーを除いたデベロッパーの中では同社が断トツの多さだ。2位の野村不動産は2013年3月期で売上高353億円、638戸を計上し、三井不動産を追撃する態勢を敷いているようだが、この差は詰まるのかつまらないのか。他のデベロッパーも戸建てを増やす意向で、戸建て市場が面白くなる。