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2013/10/30(水) 14:29

近所付き合い 金額に換算したら160万円? アットホーム調査

投稿者:  牧田司

 不動産情報サービスのアットホームがまたまた面白いアンケートを行った。1都3県に在住する20~40代で、2012年10月1日から2013年8月28日までの間に新築・中古住宅を購入した男女600名を対象に「近所付き合い」に対する意識調査を実施したもので、近所づきあいを価格に換算して結果を公表した。

 ニュースリリースによると、「近隣住民の雰囲気も住宅購入の決め手になった」人が58.3%で、「現在、近所付き合いに満足している」人は全体で49.7%(新築46.0%、中古61.9%)、「近所付き合いは大切にしたい」人が65.8%、「良好な近所付き合いを買うことができたら、物件価格に上乗せしてもいい額」は平均160万円というものだ。

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 記者もなにもかも金額に換算するのは大好きで、あの東京ミッドタウンの用地の落札価格を1,800億円と予測して的中させたのには快哉を叫んだし、主婦(夫)労働はとてもサラリーマンの給与で賄えないとはじき出したときはショックを受けた。

 今回のリリース記事を業界紙で読んで腰を抜かすほど驚いた。「近所付き合い」を金額に換算したのはおそらく初めてだろうし、その価値をユーザーが160万円とはじいたことに狂喜乱舞でもしようかと思ったほどだ。

 しかし、残念ながら「平均160万円」は著しく不正確だ。スポーツ紙もこんな見出しはつけないのではないか。回答者のうち35.3%の人は「0円」と答えているし、「1円~100万円未満」の人も31.7%いる。その一方で「300万円台」が5.8%、「400万円以上」が3.6%だ。

 これらを足して割って平均値を出したところで、果たして近所付き合いの価値を正確にはじき出したと誰もが思わないのではないか。価値を0円としか見ていない人が4割近くいるのだ。つまり、近所付き合いは大事だが、それを分譲価格に上乗せしたらびた一文出したくないという人がたくさんいるということだ。160万円は新築の首都圏マンション消費増税額(8%)と同じぐらいの価格だ。

 もう一つは「良好な近所つきあい」の「良好な」とはどのようなものかも考える必要がある。つかず離れずがいいのか、土産物のおすそ分けやおかずのやり取りをするのがいいのか、挨拶を交わす程度でいいのか人さまざまだ。

 さらに、購入に際して「不動産会社の担当者から近隣住民についての説明や情報を受けている」人が48.5%という数字にも興味が引かれる。これが多いのか少ないのかの判断だが、記者は圧倒的に少ないと思う。不動産の価値は、個別単体の価値だけではない。地域のポテンシャル、近隣のコミュニティとも密接につながっている。ユーザーは不動産会社に近隣住民の情報など期待していないのかもしれないが、新築にしろ中古にしろ、近隣のコミュニティについて把握していない営業マンは失格だ。

 個人情報の保護に過剰に反応して〝見ざる言わざる聞かざる〟が蔓延しているとしか思えない。無猿(縁)社会とはよくいったものだ。

 それにしても、アットホームの意表をつくアンケートは面白い。どんな人が企画するのか今度聞いてみよう。

 

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