高谷氏(2011年6月撮影)
今年の春先から夏までに約3カ月で完売した「プレミアムレジデンス府中西府駅前」45戸の施工を担当している新三平建設の建設事業部支援課課長・高谷郁浩氏に話を聞く機会があった。マンションの竣工検査の厳しさを思い知らされた。
マンションはJR南武線西府駅から徒歩1分の6階建て全45戸。専有面積は57.77~92.17㎡、価格は3,300万円台~5,800万円台(最多価格帯3,900万円)。竣工予定は平成25年12月上旬。施工は新三平建設(事業比率90%)、三信住建(同10%)。売主は三信住建。
西府駅は2009年に開業した駅で、当時、扶桑レクセル(現大京)が「レクセルマンション府中西府」78戸を分譲して人気になったのを記憶している。坪単価は220万円ぐらいではなかったか。その後、マンションは供給されていないはずだ。
今回も人気になったのは駅1分の利便性と、道路を隔てた隣接地にスーパーが開業する予定になっていることだろうと思う。
高谷氏は、引き渡しを目前に控えかなりナーバスになっていた。「竣工検査には社内検査-施主検査-入居者検査の3回ありまして、今回が最初の社内検査。機能性で問題が発生するのはあり得ないことですが、住戸内検査のとき私は左手に軍手をはめて角という角を隈なく撫でまわします。一筆書きと一緒ですよ。途切れることは絶対にない。徹底してキズや汚れをチェックします。1回あたり30カ所ぐらいは修理すべきところを発見します。職人さんたちとは侃侃諤々、掴み合いになるぐらいの議論になることも度々です。それをやるから施主や一般のお客さまからゼネコンは信頼されるのです」と話した。
左手を見せてもらったが、普通にはあり得ないタコができていた。なぜ左手かは聞かなかったが、右手は何か作業したり書いたりするので使わないのだろうと思った。工事ミスかそうでないかで議論が白熱化するのは、それぞれプロの立場から自論を主張するはずだろうから当然だろうと考えた。
こうした裏方の苦労を思うと、マンションの施工時期の平準化は急がなければならないし、ゼネコンの多重下請構造の改善も喫緊の課題だ。