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2013/11/28(木) 18:02

大京・近鉄不動産 環境共生に力入れた「港北」

投稿者:  牧田司

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「ライオンズ港北ニュータウンローレルコート」

 大京(事業比率70%)と近鉄不動産(同30%)は11月27日、横浜市都筑区のマンション「ライオンズ港北ニュータウンローレルコート」の記者発表会を行い、12月中旬に分譲開始すると発表した。「スマートマンション導入加速化推進事業」4つ星を獲得した物件で、徹底した環境共生の取り組みがされている物件だ。

 物件は、横浜市営地下鉄グリーンライン北山田駅から徒歩12 分、または同ブルーライン・グリーンラインセンター北駅から徒歩17 分、横浜市都筑区北山田5 丁目に位置する7階建て全221戸の規模。専有面積は67.02~108.54㎡、予定価格は70㎡台で3,900万円台~、坪単価は201万円。1期分譲は72戸を予定。竣工予定は2015 年8 月24 日。基本設計はIAO竹田設計。設計・監理・施工は三井住友建設。販売は大京。

 開発開始から約40年が経過した港北ニュータウン内で、残りは2区画しかない住宅用地の一つという希少性の高い大規模物件で、約8,600㎡の敷地にパッシブデザインとスマートシステムを融合した環境共生住宅であるのが最大の特徴。

 創エネ・畜エネ・省エネを組み合わせてマンションの維持・管理費の削減を実現したほか、自然の力で快適な室内環境を生み出した。経済産業省の「スマートマンション導入加速化推進事業」で4つ星を獲得した。持続可能な生態系を保つため入居3年間はランドスケープ設計会社が樹木剪定やビオトープの管理を提案し、入居者の「体感し、学び、育む」をサポートしていく。

 住戸プランでは、妻側住戸の窓を淡い色つきガラスにしているのが特徴で、外観にアクセントを与えている。

 発表会に臨んだ同社首都圏第二支店長・立石恭司氏は、「住宅用地としてニュータウン内に残り2区画しかないという希少立地にふさわしいグリーン・マトリックス・システム、せせらぎ計画など新しい取り組みを盛り込んだ」と話した。

◇       ◆     ◇

 環境共生住宅はこれまでも大京が積極的に取り組んできたテーマだが、今回の物件は最高レベルの取り組みだと思う。まず、せせらぎとビオトープ。深さ約90mの井戸を掘り、井戸水を散水に使用するほか全長約60mのせせらぎ・ビオトープに利用する。井戸水は飲めるほどの水質のいいもので、非常時には防災井戸として近隣にも利用できるようにする。

 せせらぎ・ビオトープの取り組みとしては、もう20年も前に埼玉県住宅供給公社が分譲した「大宮」のマンションがもっともすぐれていると思う。全長は数十メートルあり、カモがたくさん飛来していた。ここは水田や畑もあり、入居者がみんなで収穫もしていた。(企画意図が購入者に全然伝えられなかったため、大量の売れ残りを出すなど事業しては大失敗だったが)

 今回の両社の取り組みは「大宮」には劣るかもしれないが、ビオトープの面積は約100㎡というから相当なものだ。

 このせせらぎ計画の「水」ほか、ソーラーパネルと蓄電池の「光」の利用、敷地全体を緑でつなぐ「緑」の活用、パッシブデザインを取り込む「風」によって、維持管理コスト「ゼロ」を目指す。年間約180万円の維持・管理費を削減する。

 パッシブデザインでは、これまでの換気機能付き玄関ドアのほか、室内扉の換気ルーバーを新たに採用する。換気口も高機能のものにする。

 今回採用するパッシブデザインは、省エネ等級4・エコガラスを採用し、換気機能付き玄関ドア、通気ルーバー付扉、大型給気口、グリーンカーテンを採用していない一般的なマンションと比較して夏場の換気量は約4倍、室温は最大で4.9℃も差が出.るデータも得ている。

◇       ◆     ◇

 持続可能な生態系配慮型植栽管理も注目できる。生態系を保存するため、コンペ形式により植栽管理会社を選定。さらにランドスケーププラス社が竣工後3年間、植栽やビオトープの維持・管理をサポートしていく。これらを通じて、居住者のコミュニティ形成をサポートする。

 先の「大宮」のマンションでは、せっかく立派な環境共生マンションにしたにもかかわらず失敗したのは、入居者や管理業者に丸投げしたためだ。3年間管理サポートすれば、入居者が自発的に取り組むようになるのではないか。

◇       ◆     ◇

 「CASBEE」についてもひとこと。これまでも何度も書いてきたが、独自のマンション環境性能評価制度を採用している東京都はともかく、神奈川も埼玉も千葉県もどうも制度はつくっていても魂が入っていない。杓子定規に物事を計るから国の「長期優良住宅」認定を得ながら「CASBEE」ではSランクが取得できない事態が続出している。「CASBEE横浜」ではSランクは数えるほどだし「CASBEE神奈川」も1つあるぐらいだ。

 自治体が独自の基準を設けるのはいいことではあるが、レベルの高いマンションも並みの「A」(Aは低いわけではないが、決して高いものばかりでもない。はかりの目が粗すぎるのだ)と一緒ではデベロッパーが泣く。

 大京は「S」ランク取得を目指したそうだが、「バリアーフリーの対策よりも、仕上げ材(タイル、床仕上げ、手すりなど)に『再生材』を用いることというのが大きな壁となった。再生材はお金をかけて設置することは可能だが、耐用年数が短く取り換えスパンが短いため、結果的に長期修繕の費用が増え、お客様の負担になってしまうため今回は断念した」(広報)とのことだ。

 読者の皆さんは、この理由をどう読むか。コストをかけて「S」を取得するか(これもユーザー負担だが)、コストを削減して並みの評価で我慢するか。点数偏重の弊害がここにもある。 

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ビオトープ

 

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