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2013/12/18(水) 13:42

総合地所が組織改定 質の向上を追求して欲しい

投稿者:  牧田司

 総合地所は12月1日付けでソリューション事業本部を不動産開発事業本部に改称し、用地開発部と営業企画部を新設し、賃貸事業部の営業体制を強化するなどの組織改定を行なったが、組織改定に伴う事業説明会を16日開いた。

 主な組織改定は、①分譲・賃貸・リノベーション事業を強化するため、ソリューション事業本部(東京本社・大阪支店)を不動産開発事業本部に改称し、用地開発部(東京本社)、大阪用地開発部(大阪支店)を新設②商品企画力、販売企画力、マーケティング力の強化を図るため企画本部に営業企画部を新設③賃貸管理の営業体制を強化するためオーナー向けの窓口であった賃貸戦略部を、エリア別に三部体制に改組し、賃貸戦略第一部・賃貸戦略第二部・賃貸戦略第三部を新設-など。

 説明会の冒頭、同社取締役兼常務執行役員管理本部長・谷村大作氏は「不動産事業は建築費の上昇、消費増税後の市場への影響など、経営の舵取りが難しくなる局面を迎えるが、どう打って出るかの解答を示せたと思う」と述べた。

 続いて不動産開発事業本部を新設したことについて、不動産開発事業本部副本部長・井上理晴氏が「用地開発部を新設したのは、マンション用地取得にとどまらず戸建て、賃貸、リノベーションも含んだ多面的、戦略的な専従部隊として発足させた。ボリュームを追うのではなく質を追求していく。組織に横串を通すことで連携も図れる」と、新設の理由を語った。

 賃貸事業本部再編については、同社賃貸事業本部副本部長・八木橋伸二氏は「顧客満足度を高めるため三部体制を敷いた。スタッフも12名から23名に増員した。ファンド向け、オフィス・店舗などにも対応していく。現在約18,000戸の管理戸数を2万戸にするのが当面の目標」と話した。

 営業企画部を新設したことについては、同社企画本部営業企画部部長・小金沢伸一氏が「マンションの価格上昇圧力が高まっているが、Web戦略、商品企画、販売企画、マーケティング力を強化してカスタマーズファーストを実践していく」と語った。

◇     ◆   ◇

 リーマン・ショック後、同社が「ソリューション事業本部」を立ち上げたあたりから、記者は同社の動向にずっと注目してきた。「不動産はソリューションビジネス」そのものだが、言うは易く行なうは難し。何をするかだ。

 その点、同社は1棟買い取りリノベーション、サ高住なども手がけるようになった。広報活動も強化した。どんな小さな案件でも報道陣向けに現地見学会を行なってきた。今回の組織改訂に伴う説明会も同様だ。ステークホルダー重視の経営には欠かせないことだ。

 その「ソリューション事業本部」が改称されるのはさびしい気がしないではないが、「不動産はソリューションビジネス」という考えからすれば、各部署の呼称を変えて組織を明確にするのは理解できる。

 しかし、谷村氏も話したようにデベロッパーの前途は決して明るいものではない。マンションも賃貸もリノベーションも益々競争は激化する。かつて大手は手をつけなかった分野へも進出姿勢を強めている。同社がどう独自性を発揮していくかが鍵を握っている。真価が問われるのはこれからだ。

 ヒントは旧安宅地所、永昌不動産時代に培ったノウハウ、DNAをどう継承していくかだ。記者は昭和50年代から両社のマンション事業などをずっと見てきたが、決してゼネコンに丸投げするようなことはしなかった。専用カーポート付きや温泉付き、ランドスケープ重視の商品企画などで業界をリードしてきた。ステイタスとなっている〝ルネ〟マンションは少なくない。安定的な収益源の賃貸部門があるのだから、マンションは井上氏も話したように数を追うのではなく質を追求して欲しい。

 

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