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2013/12/25(水) 16:25

都市再生機構 行革の基本方針は示されたが前途は多難 

投稿者:  牧田司

 独立行政法人のあり方について検討を重ねてきた行政改革推進本部が12月20日、基本方針をまとめた。都市再生機構については、東京都心部の約13,000戸あるタワーマンションなどの高額賃貸住は平成26年度からサブリース契約により運営を民間に委ね、財務構造の健全化に道筋をつた後は売却すべきとしている。

 賃貸住宅については、定期借家契約の活用などにより収益性が低い団地は統廃合を加速させるべきとし、急速な高齢化が見込まれる団地については、医療福祉施設を誘致すべきとした。

 また、ストックの老朽化などにより住宅管理コストは今後増加が見込まれるとし、確実にコストを下げる仕組みを構築すべきとした。

 さらに、適切な家賃収入の確保を図るため家賃の引き下げや引き上げを機動的に行い、低所得の高齢者に対する家賃減額措置は、他の供給主体の住宅との衡平性を考慮してコストは公費で負担すべきとしている。

 一方、都市再生事業については、開発型SPC(特別目的会社)の活用など民間との連携手法を多様化することで、リスクにみあった適正な収益の確保を促進すべきとした。

 ニュータウン事業は平成30年度までの土地の供給・処分完了に向けた取り組みを促進すべきとしている。

 人員規模については、東日本大震災に係る体制強化の必要性もあることから現在の水準を維持すべきとしながらも、関係会社は平成30年度までに数を半減すべきとしている。

◇       ◆     ◇

 方向は示されたが、前途は多難と言わざるを得ない。平成24年度末で資産が14兆4,624億円に対して有利子負債は12兆7,068億円だ。

 賃貸住宅の経営も苦しい。約75万戸ある賃貸住宅の空き家率は平成21年度に10%を超え、その後も上昇傾向にある。建物の老朽化にともなう維持・管理費コストが上昇すると思われるが、その一方で賃借人の高齢化・世帯収入減少の問題がある。家賃収入は平成20年度以降漸減を続けている。家賃を上げようにも、セーフティネットの一端を担うべきとする法律などが壁となっている。低所得者などを対象とした家賃の減額措置は約85,300世帯、減額総額は約156億円(うち国費85億円)にのほる。

 都市再生事業は黒字体制にはあるが、民間や地方自治体が行う都市再生や活性化事業を支援・補完することを目的とされており、時間とコストが掛かる地権者の権利調整などを担わされているのも収益確保の足かせとなっている。

 ニュータウン事業は、極めて厳しいと言わざるを得ない。大規模開発は地価が右肩上がりに推移するのを前提とした事業であり、バブル崩壊によって事業環環境が逆転した以降も開発を続けてきたのが今日の苦境をもたらした。新機構になった平成16年から土地の供給・処分を進めてきたが、いまなお3,000haを超える土地を抱えている。同機構がかかわった「多摩ニュータウン」(約1,400ha)と「つくばエクスプレスタウン」(約1,600ha)の合計以上だ。

 これを平成30年度までに完了するのは至難の技だろう。繰越欠損金は2,000億円を超える。今後の地価動向にもよるが、さらに膨らむ可能性もある。

 また、東日本大震災による復興市街地整備事業にも機構は全体59地区のうち27地区に関わっているが、この規模も1,000haは超えるはずだ。これも大丈夫かと疑問を挟まざるを得ない。

 国策に沿って進めてきた事業ではあるが、バブルが崩壊してもだらだらと事業を進めてきた罪は重い。

 

 

 

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