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2014/01/25(土) 14:40

積水ハウス 「ザ・リッツ・カールトン京都」完成 2月7日開業

投稿者:  牧田司

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「ザ・リッツ・カールトン京都」

 積水ハウスは1月24日、京都市中京区二条で建築しているマリオットホテルグループの最高級ブランド「ザ・リッツ・カールトン京都」を2月7日に開業すると発表。同日、開業に先駆けて報道陣に公開した。敷地が約6,000㎡で、高さ規制などの制約が多い中で、鴨川に面した立地を巧に利用した最高レベルのホテルであるのは間違いない。

 建物は、京都市営地下鉄京都市役所前駅から徒歩3分、京都市中京区鴨川二条大橋畔に位置するRC造(一部SRC造)の地下3階、地上4階建て全134室の規模。敷地面積は約5,937㎡、延床面積約24,682,89㎡。客室面積約45~212㎡(中心は約50㎡)。ルームチャージは65,000円から。建築主は積⽔ハウス。建築構造設備・外装デザインは日建設計、客室・パブリックデザインはレメディオス・デザインスタジオ、レストランデザインはデザインスタジオ・スピン、内装設計はイリア、庭園デザインは野村勘治。

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 現地は、敷地東側に鴨川が流れる市内の一等地。旧「ホテルフジタ京都」の敷地を3年前、積水ハウスが取得した。用途地域は建ぺい率80%、容積率400%の商業地域だが、高さ規制として川岸より20mまで軒高12m、それ以外15mとなっており、岸辺型美観地区Ⅰ型(屋根形状を勾配屋根にすること)、旧市街地型美観地区(外壁、屋根色などの規制)の規制がある。

 建物は古都の歴史を継承するのがコンセプトの一つで、敷地内にあった灯籠、庭石、滝石などは旧ホテルで使用されていたものを再利用している。外観・内装には、日本の伝統的な格子、七宝などの文様、西陣織を多用。アートのコンセプトは「源氏物語」で、主人公光源氏の邸宅「六条院」や「雅」「もののあわれ」「風流」などをモチーフにした80人のアーティストによる394作品が共用部を中心に展開されている。

 レストラン&バーは、長さ11mもの輪島塗を施したカウンターがある日本料理の「水暉」、明治の実業家・藤田傳三郎の別邸「夷川邸」をレストランフロアに移築したイタリアンの「ラ・ロカンダ」、360度からアプローチできる巨大なワインセラーがある「ザ・バー」など。このほか、鴨川の流れの音や風を取り込む室内プール付きのスパ、フィットネスジムなどを備える。

 客室は50㎡以上が中心で、鴨川が眺められるタイプは半数以上。62㎡以上のスイートは17室。アメニティは「エスパ」。

 記者発表会で総支配人の田中雄司氏は、「ザ・リッツ・カールトンは17年前の『大阪』、7年前の『東京』、2年前の『沖縄』に次ぐわが国では4件目、世界で86件目となる。京都への観光客は年間500万人で、そのうち100万人が外国人。外資系のホテルは少なく、独自の『クレド』を生かしてラグジュエリーホテルとして今までとは違った選択肢を提供したい」と語った。

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エントランス

◇     ◆   ◇

 積水ハウスが「ザ・リッツ・カールトン」建設を発表した段階で必ず見学しようと決めていた。同社は日本一のハウスメーカーだが、同時に世界一でもある。世界一の「おもてなし」を提供している「ザ・リッツ・カールトン」とコラボして、古都・京都の一等地でどのようなデザインの建物を建設するのかが最大の関心事だった。

 規模などは「東京」の半分ぐらいしかないが、建築設備・外装デザインには日本一の日建設計を、客室・パブリックデザインには世界的なレメディオス・デザインスタジオをそれぞれ起用し、和と洋の調和を図ったホテルだ。「東京」と比べると、よりわが国の伝統的な文化、建築様式を取り入れたものとして記者は評価したい。

 圧巻は地階の温水プールだ。窓を開けることにより鴨川の流れの音と風を取り込めるようにしていた。イタリアンもいい。築100年という邸宅をそのまま個室に移築したのは意表をついた演出だが、これぞ「非日常」。外国人にも日本人にも受けるのではないか。和と洋の不思議な空間「ロビー・ラウンジ」や「闇夜の月」をモチーフにした壁のデザインにははっとさせられる。

 唯一理解できなかったのが、会席・鮨・天麩羅・鉄板の4つの料理で構成される日本料理レストランだった。全体で200㎡ぐらいあるそうだが、ほとんどオープンになっており、設えは明らかに中華。「アジアンテイスト」なのだろうが、日本人の富裕層に受け入れられるか疑問に思った。仕切りのない大部屋で会席料理や鮨を食べる習慣は富裕層にあるのだろうか。

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共用部廊下(左)と布クロスの壁

◇     ◆   ◇

 「ザ・リッツ・カールトン京都」が最高の器であることは確認できた。地下水を温熱環境に変換する最新技術も導入されている。あとはリッツの「クレド」の実践あるのみだ。エントランスでは和装の「ゲストエスプリジェンヌ」が迎え入れてくれるのも特徴だ。

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日本料理(左)とイタリアン個室

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スパ・温水プール(左)と客室

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 余談だが、記者は外観写真などを撮った後、昼食を取ろうとホテルから1分もしない「がんこ高瀬川二条苑」という和食料理店に入った。店の案内書には「京の人々に古くから親しまれ愛されてきた高瀬川の流れは、豪商角倉了以の別邸跡『がんこ高瀬川二条苑』を通り…」とあった。

 取材時間は迫っており、食事もそこそこに店の了解を得て写真を取りまくった。森鴎外の「高瀬舟」もそうだが、澤田ふじ子さんの連作「高瀬川女船歌」に描かれている京の風情が一挙に蘇った。

 以前はこの「がんこ高瀬川二条苑」も「ザ・リッツ・カールトン京都」の敷地も同じ地続きだったということを積水ハウスの広報担当者から後で聞いた。「高瀬川の源流」はリッツに負けない庭だ。

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「がんこ高瀬川二条苑」の「高瀬川の源流」庭苑

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