サステナブル・コミュニティ研究会がアンケート調査
表札表示は6割、コミュニティ形成活動なしが6割-サステナブル・コミュニティ研究会(代表:三井不動産レジデンシャル)が実施した「マンション・コミュニティに関するアンケート調査」で課題が多いマンション管理の実態が浮き彫りになった。
調査結果では、コミュニティ形成に関する活動が「特にない」が約60%にのぼり、行事は「年1 回程度」「2~5 回」が約30%、「防災訓練」実施は約40%にとどまった。コミュニティの自己評価については約70%が「良好」となった一方で、「良好とはいえない」が6%あり、課題については「区分所有者高齢化」が約30%、「ルールを守らない居住者増加」も約20%にのぼった。
同研究会は、「居住者が楽しく・安心して暮らせ、次の世代にも、さらにその次の世代にも住み続けてもらいたいと思えるような地域社会」(サステナブル・コミュニティ)のあり方を外部有識者や団体と共同で研究し、情報ツールやプログラムを通じて、研究成果を社会に発信していく研究会として2011 年7 月に発足。
アンケート調査は、今後のマンション開発や管理運営に生かすために行ったもので、調査対象は三井不動産グループが管理を行っている関東エリアの約1,600棟の管理組合。回収数は691棟(回収率43%)。
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記者が注目したのは、コミュニティに関する活動は「特に活動していない」が6割にのぼるなど活発でない一方で、コミュニティの自己評価では「理事会などでの意見が活発」「イベント・行事への参加も積極的」「懇親会や回覧板を通じて名前が分かり挨拶ができる」「問題が発生したらその都度解決するようにしている」ことなどが高い評価を受け、全体として70%が「とても良好」「おおむね良好」としていることだ。
活動が活発ではないのに、活発な活動を評価する-この相矛盾した回答をどう評価するかだ。また、コミュニティが「良好とはいえない」と回答した6%の少数派が「お互い興味を示さない」「参加意識の欠如、協調性が欠ける」「自分勝手が多い」「共助の関係はほとんどできていない。自助にも不安」と強い不満・不安を示したのと合わせ興味深い。「表札を掲げている住戸は少ない/ない」が32%にも達するなど、いわばコミュニティ拒否派の存在も無視することはできない。
「共同住宅」という共助なくして財産維持・管理ができないマンションであるにも関わらず「われ関せず」という居住者が少なくない、同床異夢の実態が浮き彫りになった。問題解決は一筋縄ではいかないということだ。この複雑な問題に同研究会はどのような解決策を打ち出すか興味深い。