「パナホームスマートシティFujisawa SST」ガーデンパス
パナホーム&三井不動産レジデンシャルが分譲開始
パナホームと三井不動産レジデンシャルは2月13日、藤沢市のパナソニックグループ工場跡地で開発を進めている藤沢市、パナソニック、Fujisawa SST協議会によるスマートシティ・プロジェクト「Fujisawa SST(サスティナブル・スマートタウン)」の戸建街区(約600区画)でそれぞれ1期分譲を2月15日から開始すると発表した。その前日の14日、降りしきる雪のなか現地を見学した。
物件は、JR・小田急線藤沢駅からバス5分徒歩1分、藤沢市辻堂元町六丁目に位置する全1,000戸(戸建て約600戸、マンション約400戸)のFujisawa サスティナブル・スマートタウン土地区画整理事業地。街全体完成予定は2018年度。戸建て、マンションのほか商業施設、健康・福祉・教育施設なども併設される。
パナホームの「パナホームスマートシティFujisawa SST」の第1期分譲は34戸で、土地面積125.01~149.57㎡、建物面積101.82~119.97㎡、価格は5,398万~6,490万円(最多価格帯5,700万円台)。建物は軽量鉄骨造2階建て。
三井不動産レジデンシャルの「ファインコートFujisawa SST」の第1期分譲は28戸で、土地面積125.05~135.17㎡、建物面積98.36~113.51㎡、価格は5,020万~6,490万円(最多価格帯5,000万円台・5,300万円台・5,600万円台・5,700万円台)。建物は2×4工法2階建て。施工は西武建設、三井ホーム、東急ホームズ、エステーホーム。
「Fujisawa SST」は2013年9月、国土交通省の「住宅・建築物省CO2先導事業」に採択されたプロジェクトで、藤沢市などをアドバイザーに、オーナーであるパナソニックを代表に先進的な取り組みに参画する17社などで構成されるFujisawa SST協議会が開発を進めているもの。
主な特徴は、①多世代に向けライフスタイルを提案する複合大規模スマートタウン②風と光と緑を取り込む、ゆとりある空間を実現③地域サービスとつながるポータルサイト④タウンマネジメント会社による独自のコミュニティ、モビリティ、セキュリティサービス-など。
2013年9月の広告開始以来、合計で3000件以上の反響があり、モデルハウスオープン後は1000組以上の来場がある。
両社とも1期分譲の戸数は少なめにしている模様で、即日完売する可能性が高い。
「パナホームスマートシティFujisawa SST」(写真右の土間提案がいい)
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詳細は両社が発表したニュースリリースを参照してほしい。記者が注目したのはタウンデザインだ。曲線を多用したゆったりした街路設計で、藤沢市が管理する幅約3.5mのガーデンパス(歩行者専用道路)を住戸間に設けているのが最大の特徴だ。
これに似たものはかつて分譲されたが、それは団地管理組合などが管理するもので、自治体が管理する例を記者は知らない。これによって隣り合う住戸間の光と風を取り込むことができるように工夫されている。住民の語らいの場や近隣間の交流を促進させ、街の活性化にもつながることも企図されている。
もう一つは、タウンマネジメント会社によるタウンサービスだ。コミッティ会員は会費(12,760円/月)を負担し、タウンマネジメント会社はFujisawa SSTコミッティ(住民自治会)に様々な支援やサービスの提供を行うものだ。
タウンマネジメント会社は、会費や関連事業者からの賛助会費に加え、独自の運営収入(コミュニティソーラーからの売電収入、インターネット回線賃貸収入、生活支援用地等賃貸収入)を元にコミッティ運営支援や各種タウンサービスを行う。
提供されるサービスは、集会所やタウンカメラなどの施設・設備の修繕管理や植栽メンテナンス・清掃などの維持管理から、街としての各種ガイドラインの運営支援やコミュニティ、モビリティ、セキュリティなどのソフトサービスだ。
これも似たようなものがあったが、これほど大規模なものはまずないと思われる。会費は高いような気がしないわけではないが、わかりやすく考えればマンションの管理費のようなものだ。タウンマネジメント会社が団地全体の維持管理、価値向上を行うと考えればいいようだ。
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ガーデンパスのコンセプトを住戸デザインにも取り入れているのがパナホームだ。
ガーデンパスを中央に隣り合う住戸の間はオープンで、北道路に面したところにそれぞれ駐車スペースがあり、玄関の位置は向き合う形で設けられており、南側のガーデンパスからそれぞれアプローチできるように設計されていた。一見したところ、まるでまるでシンメトリーの建物か、左右対称の階段室型マンションを連想させるものだ。
これには驚いた。駐車スペースは隣り合う2~3戸の中央に設けられているケースは多いが、玄関が向き合う形で配置されているものなど記者はほとんどない。ユーザーもこれには驚くはずだ。
全部見たわけではないが、それぞれ向き合う住戸の玄関のところに背丈以上もあるレトリスか衝立のようなものが設けているのもあった。(…ようなもと書いたのは、記者は寒くてはっきり確認しなかったからだ。この日は雪ばかりでなく、ビニール傘が壊れるほど猛烈な北風が吹いた。昼間だから暖かい南からの海風が吹くはずなのに…低気圧の影響か。ガーデンパスの効果は抜群なのを図らずも実感した)
これについてはぜひともユーザーの声を聴いてみたいものだ。
「パナホームスマートシティFujisawa SST」(手前の北道路からエントランス方面を写す)
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三井不動産レジデンシャルの建物はこれまでもよく見てきた外観デザインのものだ。やや異なっているのは、湘南をイメージしたのか淡いブルーや白を基調にしたカラーリングのものが多い。
モデルハウスはストレージ(収納)がテーマになっている。どの住戸も収納スペースは15畳大確保しているように、見事というほかない。ポラスの「子育てママの理想の家」で最優秀賞になったプランもよかったが、「ステップストレージ」、「ステップダウン収納」、「ボックスストレージ」、「デイリーストレージ」などは必見ものだ。植栽が豊富なのも特徴の一つ。
「ステップストレージ」
「ステップストレージ」(左)と「ウォークインクローゼット&デイリーストレージ」
「ステップストレージ」植栽