野村不動産の都市型戸建て「(仮称)三鷹中原1丁目プロジェクト」が三鷹市エコタウン開発奨励金制度で初の「ゴールド」に認定され、3月25日、認定証授与式が行われた。
エコタウン開発奨励金制度は、地球温暖化防止、エネルギーの有効利用を促進させるため平成25年度と26年度に限定して行うもの。事業面積3,000㎡以上の戸建て住宅を建設する事業が対象で、太陽光発電、太陽熱利用、蓄電池、電気自動車用充電設備などを設置したものについてそれぞれポイントを与え、1ポイントにつき1万円(最大32ポイント/戸)の奨励金を事業者に交付する(上限1,200万円)。奨励金交付相当額を住宅の販売価格から減額することが条件となっており、最終的には住宅購入者である市民が受益者となる。ポイントに応じて「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」のランクが付けられている。
今回の開発ではトータル855ポイント(855万円)が45戸(1戸当たり19万円)に対して交付される。「ゴールド」認定されたのは今回が初めて。
野村不動産の宮嶋誠一専務住宅事業本部長は、「私どもは全国で年間約7,000戸の住宅の分譲事業の中で、これまでも環境対応に配慮した住宅づくりをして参りました。この度、三鷹市様より初めてのゴールド認定をいただけましたことを機に、より一層環境に配慮したサステナブル街づくりを進めていきたいと思っています」と話した。
物件は、京王線仙川駅から徒歩13分、三鷹市中原1丁目に位置する開発面積6,484㎡の全45戸。1戸当たり平均土地面積は約120㎡、平均建物面積は約96㎡。価格は未定。今夏に販売予定。プラウドスマートデザイン「SMART&GROWING」のコンセプトに基づき全45戸に太陽光発電、HEMS、蓄電池、電気自動車充電用コンセントの4つの設備を搭載している。
◇ ◆ ◇
野村不動産がいよいよ大手の都市型戸建て市場で独走していた三井不動産レジデンシャルを追い上げる態勢に入った。今回の物件のほか、「調布市西つつじヶ丘」(20戸)「調布市菊野台3丁目」(51戸)と同じ京王線で一挙に3物件116戸を供給する。
三井不動産レジデンシャルは年間800~900戸位を最近供給しているが、一方の野村不動産は今年度が約700戸も来年度は約900戸を計画。同社住宅本部戸建事業部長・市原幸雄氏は、「中長期的には1,000戸を目指す。これまでは大型案件が中心だったが、10戸くらいの規模でも地形や開発道路の関係で街づくりが可能なものもある」と、これまで三井不動産レジデンシャルが得意としてきた中小規模の案件も手掛けることを臭わせた。
三井不動産レジデンシャルは先に首都圏の全棟でエネファームを搭載すると発表。両社のつばぜりあいが見ものだ。
◇ ◆ ◇
良好な戸建て住宅に対して奨励金制度を設けるのは賛成だ。額的には1戸当たり約19万円と多くはないし、自然の力を取り込むパッシブ手法がポイントに盛り込まれていないのは課題と言えば課題だろうが、分譲価格に反映されるというのは消費者にとっては分かりやすい。2年間限定と言わずに継続してはどうか。現金だけでなく地元商店街などと連携した地域通貨も考えられる。
加速度的に進む少子高齢社会では、若者や子育て世代をどう呼び込むか都市間競争は激化する。これについて、三鷹市生活環境部長・清水富美夫氏は「街の価値を高めていくために環境や子育て、学校教育など多面的に取り組んでいる。総合力ではトップクラスではないか」と話した。三鷹市の取り組みは周辺区市に刺激を与えることになりそうだ。