オープンハウスは消費増税を直前に控えた3月26日、首都圏に住む住宅購入意向者500人を対象に動向調査を実施。回答者の4割が直近1年間に「住宅を購入」し、購入者の半数以上が「増税前のほうがオトクだから」と答え、消費増税が購入を決断させた大きな要因であるとしている。住宅を購入しなかった人の7割以上は来年10月に予定されている「10%への消費税増税前には住宅を購入したい」意向があることもわかった。
一方、意向者の半数以上(56.6%)が「減税措置やすまい給付金について十分に理解できなかった」とし、約6割(57.0%)が「住宅購入を検討するのに十分に時間を費やすことができなかった」としている。
住宅を購入しなかった人の理由としては、「もっとじっくりと検討したかったから」が72.2%を占め、住宅ローン減税やすまい給付金制度を利用するため「消費税増税時よりも後に購入したほうがオトクと思った」人も15.5%あった。「返済額を見て不安になった」人は19.0%だった。
また、購入者の約5割(48.4%)が「住宅購入する際、両親から資金援助を受けた」と回答し、その額は「100万円以上500万円未満」(34.8%)が最多だった。
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調査結果は当然だ。建物価格が2,000万円と仮定したら、現行では100万円の消費税額は160万円になる。さらに、上昇する建築費・分譲価格に対する将来不安も買い急ぎを誘発したのは間違いない。
しかし、多くの人がローン減税や給付金の仕組みを理解できていない問題も浮上した。政府も住宅メーカー、デベロッパーは増税後の反動を極力抑えるための住宅取得支援策をアピールしているが、伝わっていない。景気回復が鮮明になった現在でも、増税後の景気が読みきれず「漠然とした不安」があることも浮き彫りになった。
記者は富裕層やアッパーミドル、DINKS層向けのマンションなどは来年の10月までは好調な売れ行きを見せると見ている。
心配なのは第一次取得層向け住宅の売れ行きだ。消費税の逆進性は生活必需品と同様、住宅も中低所得者により重く働く。マンションを例にすると、課税対象となる建物価格と非課税の土地価格の比率は都心部では3:7くらいであるのに対し、郊外部では逆転し7:3になるからだ。
ローン控除・住まい給付金も中低所得者は実質的には利用しづらい。年収400万円で、扶養家族2人の人が住宅ローン2,000万円(金利2%、35年返済)を借りた場合をシミュレーションしてみたら、ローン控除は年額約13万円、給付金は30万円となった。しかし、頭金や親の援助があるのならともかく、2,000万円で買えるファミリーマンションは首都圏ではほとんど皆無だ。
ならばと、他の条件を変えずに年収を500万円、借入金を3,000万円に引き上げて試算してみた。ローン控除額は約22万円、給付金は20万円となった。これなら3,000万円で買える郊外マンションが探せばある。