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2014/05/01(木) 12:29

ポラス 女性社員が企画した賃貸アパート「ラコント」満室稼働

投稿者:  牧田司

立地と築年数でしか価値が計れない賃貸市場に一石投じる

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「(仮称)ラコント七左町2丁目」

 ポラスの女性社員が企画開発した初の賃貸アパート「ラコント七左町」を見学した。DINKSのニーズにマッチした企画がヒットし、相場より2割くらい高いにもかかわらず、竣工の時点でほぼ満室稼働になっている。立地と築年数でしか賃料が評価されない賃貸住宅市場に一石を投じる物件だ。

 物件は、東武伊勢崎線新越谷駅から徒歩12分、越谷市七左町2丁目に位置する木造2階建て全6室。専用面積は47.13~54.65㎡。月額賃料は79,000~84,000円。敷金は1カ月。礼金はなし。共益費は4,000円。駐車料は6,000円。入居は3月下旬。

 現地は、区画整理事業によって整備された街の一角にあり、新越谷駅圏でも住宅地として人気が高いエリアに立地。建物は、ポラスの分譲住宅に多くみられる南欧風の外観で、アンティークなフラワーボックスなどを配することで一戸建て感覚を演出しているのが特徴の一つ。

 住戸プランは、1階が3室、2階が3室だが、各住戸の玄関を1階に集約し、共用廊下や階段がない重層長屋タイプ。住戸内はポラスの戸建ての商品と似ており、壁面ニッチ収納、カウンター収納、DENスペースなどを設けている。ヨガやストレッチスペースとして使えるようリビングを広めにしているものやバルコニーがないタイプもある。

◇       ◆     ◇

 記者は賃貸アパートのことはよく分からないが、間口の狭い箱型住宅を積み重ね、外階段にバルコニー付きというのが通り相場だろう。この物件は全く違っていた。外階段がないのには驚いた。

 住戸プランも、30㎡とか40㎡を想像していたが、分譲マンションのDINKS向けタイプとほぼ同じ50㎡前後あったのにも驚いた。いくらレンタブル比が高い賃貸だって90%くらいだろうが、ここは100%近いはずだ。

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フラワーボックス

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 商品企画を担当したポラスグランテック営業課企画営業係チームリーダー係長・飯村隆志氏から話を聞いた。

 商品は相続税率アップ、基礎控除額の減額など相続対策として企画されたものだが、立地と築年数で賃料が決まる賃貸市場では他社と同じ商品は賃料値下げ圧力、空室リスク、修繕費負担など資産劣化を抱え込むことになり、競争に勝てないと判断。どこにもない〝ニッチ〟に的を絞ったのが特徴だという。

 居住性を高め長く住めるように広めのプランにし、管理コストを抑えるためレンタブル比をほぼ100%にしたのもそのためだ。商品化にあたっては21営業所で約20,000戸の管理をしているグループ会社の中央ビル管理とも連携している。

 飯村氏は、「この物件を含め戸田、蒲生とあわせ3棟が満室稼働。当面の目標は当社の事業エリアの各駅で3棟。オーナーの代替わりも進んでおり、2代目を巻き込んだ事業を展開していく。オーナークラブは300人を超えている。地域にねざした狩猟型ではない農耕型で、普通のアパートではないオンリーワンの商品を提案していく。秋には新しいこれまでにないタイプの新商品も発表する」と話した。

 良質な賃貸アパートが増えることは大歓迎だ。賃貸が劣悪だから分譲マンションが売れるのだが、賃貸の質が低いからこそ分譲のレベルも抑えられる相関関係にある。本来は賃貸も分譲も同じ選択肢としてユーザーが考えられるような市場であるべきだ。その意味で、この物件はよくできたと感心する。

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 見学はもともと予定に入っていなかった。他の業界紙の若い男性記者が見学するのに同行させてもらったのだ。その記者が決してお世辞ではない「僕も住みたい」と感嘆の声を上げたのには驚いた。

 記者もいいプランだとは思った。6室のうち1室はポラスがモデルルームとして利用するために借りているが、他の部屋は1月から募集を始め3月までにはすべて満室になったというのも納得できた。

 しかし、世間が何と言おうと断じて高齢者ではないと思っている自分が住みたい家ではない。リビングの天井には物干しポールが設置されていたのは理解できても、一見して女性が好みそうなピンクのソファやら家具が設えてあったデザインは私好みではない。

 設計を担当したのはポラスグランテック設計監理課係長・岸野真奈美氏だ。商品企画にはポラスグループで賃貸管理業を展開する、中央ビル管理営業推進課の堀切広美氏も参画し、現場サイドの声を反映させているという。

 プラン、インテリアは住宅選考で女性が主導権を握っていることを考慮したものであるのだが、この若い男性記者もまんまと岸野氏の計略にはまったようだ。家庭では奥さんの言いなりになっているのだろう。実際の入居者も、女性だけでなく男性からの反響も大きいという。

 同社の新しい商品のヒントはここにある。記者には理解できないが、ターゲットは女のような男であり、男のような女だろう。違いますか? 飯村さん、岸野さん、堀切さん。

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バスルーム

 

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