RBA OFFICIAL
 
2014/05/22(木) 00:00

消費増税後のマンション市場 影響は限定的 新価格市場へ

投稿者:  牧田司

「新価格 みんなで渡れば怖くない」

「高値待ち 後出しジャンケン一挙駆け」

(以下は、不動産業界の方というより一般の方に読んでいただくように書いた記事です)

 言葉は悪いのですが、いまのマンション市場を一言で言い表せれば「新価格みんなで渡れば怖くない」「高値待ち後出しジャンケン一挙駆け」です。いま分譲されている1戸当たりの平均価格も専有面積3.3㎡あたり単価(坪単価)も、昨年の今頃と比べ確実に1割以上値上がりしています。従来相場の〝旧価格〟をどんどん更新する高値の〝新価格〟が登場しています。これは序章、序の口にすぎません。これからは新価格どころか〝新々価格〟も出現するのが必至です。

 用地取得費や建築費の上昇が最大の要因ですが、他にも理由があります。市場がアベノミクスによる景気回復や低金利、先高観を誘って極めて好調に推移しているからです。売れ行き好調が価格上昇の大きな要因の一つです。

 大手不動産会社などで組織する業界団体・不動産協会の岩沙弘道会長は、先日の同協会総会後の懇親会でも「消費税は8%に引き上げられたが、分譲住宅はローン減税の拡充、すまい給付金などの支援策によって、いまのところ反動減は避けられている」と、消費増税の分譲住宅事業への影響は限定的と語りました。

 では、いったいいくらまで上昇するか。都心部は軒並み坪400万円以上となり、リーマン・ショック後の坪単価の最高値800万円を来年あたりは突破し1,000万円くらいになると見ています。これまでは250~260万円が相場と思われていた準都心部(都心を除く概ね23区や横浜方面)では坪単価300万円を超えてくると思われます。一般的なサラリーマンが無理なく買える坪単価が200万円以下(分譲価格が3,500万~4,000万円)の地域は23区内では城東エリアの一部しかなく、郊外部でも最寄り駅からバス便などの遠い物件に限られると予測しています。

 とはいえ、消費者の取得能力に限界もあります。強気な価格を設定して売れなければ業績に影響します。だから、同業他社が高値を付けたところで、やや低めの価格にして一挙に売ろうというのがデベロッパーの戦略です。先ごろマンションの供給量が激減したと報じられたのも、売りものがないのではなく様子見です。

 売り急ぎをしなくてもいいのです。大手デベロッパーは今期の売上計上予定の6~7割はすでに契約済みです。これから分譲する物件は来期や再来期に計上する物件です。お互い腹の探りあいを演じ、新価格が出揃ってから押っ取り刀で他社を圧倒しようというのが今のマンション業界です。

◇        ◆     ◇

 さて、このような過熱気味の市場に消費者はどう対応したらいいか。これが難しいのです。消費者と言ってもそれこそ百人百様、みんな考え方も家族構成も異なります。しかも、不動産という商品は唯一無二、世界に同じものが二つとしてないという特性があります。

 ですから、一人ひとりに適切なアドバイスなどできません。確実に言えるのは、性懲りもなく繰り返される〝マンション今が買い〟〝分譲か賃貸か〟などの見出しが躍る雑誌記事などは読まないことです。雑誌社も不動産に関する記事は〝売れるから〟取り上げるのであって、決して消費者の味方ではありません。斯く言う筆者も業界紙の記者であり、お客さんの味方ではありません。かといって敵ではありません。劣悪な住宅の取材からすっかり足を洗いました。

 そもそも住宅は、金利動向や地価・建築費動向、市況によって買うものではありません。通勤に不便、子どもが成長する、陽が当たらない、家賃が高いなど買わざるをえない動機・理由があります。こうした問題と無縁の富裕層の方は、不動産を金融商品のように買ったり売ったりするのは自由ですが、一般的なサラリーマンの方にとって煉獄の苦しみが到来しないことを望むしかありません。

 お勧めは自ら居住する地域の不動産流通会社に相談することです。最近の仲介会社は敷居を低くして、お客さんとの距離を縮めようとしているところが増えています。新築が無理なら中古を買うのも選択肢の一つです。最近流行りのリノベーションもあります。

 間違っても猫の額ほどの庭もない、ぺんぺん草も生えないような一戸建てや、安かろう悪かろうのマンションを買わない勇気を持ってほしいものです。とにかく〝見る目〟を養ってください。

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン