三井不動産レジデンシャルは5月27日、「可動間仕切り収納(Kanau Shelf/カナウシェルフ)」を採用することで、住戸内の空間を自由に変更することができる「KANAU PLAN」を開発、その第一弾として「パークホームズ駒沢ザレジデンス」に採用すると発表した。
「KANAU PLAN」は、ライフスタイルが多様化する中で、供給サイドが決めた「LDK」の発想では住まい手のニーズに応えられないという発想から考え出したもの。
水回り部分は固定したままだが、「カナウシェルフ」はキャスター付きなので軽く押すだけで移動が可能で、収納の下部に格納されている昇降ハンドルを回すだけで天井に突っ張ることができる。震度5弱以上で扉の開閉を自動ロックする「耐震ラッチ」機能もついている。クロークユニット、下足入れユニット、建具ユニットなど7種類のユニットを組み合わせ、自由に室内をレイアウトできる。各ユニットの寸法は50ミリ単位でオーダーすることもできる。
物件は、東急田園都市線駒沢大学駅から徒歩2分、世田谷区駒沢二丁目に位置する5階建て全50戸。専有面積は40.63~101.66㎡、坪単価は360万円。設計は日建ハウジングシステム、施工は五洋建設。竣工予定は平成27年7月上旬。
これまで来場者は約220件。立地、利便性に恵まれており、外観意匠に力を入れていることから遠方からの反響もあるという。6月7日からモデルルームを一般公開し、販売は6月下旬。
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記者は他の取材があり遅れて発表会に臨んだ。可動間仕切りの提案はもう20年も前から各社が提案しており、別に珍しいことではない。最近では三菱地所レジデンス、コスモスイニシア、伊藤忠都市開発、大成有楽不動産などの同じ発想の優れた提案を見学しているし、三井不動産レジデンシャルも「武蔵小杉」「八丁堀」「大崎」などで思い切ったプランを提案している。
なので「KANAU PLAN」そのものは真新しいものではない。同社がこれまで提案してきたプランからすると当然の帰結だと思った。SI(スケルトン・インフィル)の提案ともいえるものだ。ただ、同社が特許を申請しているように、ユニットは女性一人で動かせ、ハンドルひとつで天井にぴったり張り付かせることができるのがいい。「駒沢」は15戸で対応するが、13ユニットまでは無料。設置するだけで少なくとも100万円以上の価値があるという。もちろん、好みの間取りに変えられる価値はお金では換算できない。
それよりも、驚いたのは単価だった。坪単価360万円は極めて安いと思った。徒歩2分で設計は日建ハウジングシステムだ。物件は北口から徒歩2分なので、駅の南側よりは安いと思ったが、坪単価は380万円くらいだと弾いた。
早速、現地を見学した。まずまずの住宅地だが、難点もあった。玉川通りと高速道路からは離れてはいるが、うるさいほどではないにしろ、かといって静かではない。この騒音を考慮して下方修正した。それでも坪360万円はこれから供給される駅近マンションと比べたら割安感がある。申し込みが殺到しても驚かない。