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2014/06/06(金) 00:00

みらい・三井不 国内最大級の植物工場「柏の葉スマートシティ」に完成

投稿者:  牧田司

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「柏の葉第2グリーンルーム」

 みらいと三井不動産は6月5日、1日1万株の野菜を生産する国内最大級の植物工場「柏の葉第2グリーンルーム」見学会を行った。

 植物工場は、「柏の葉スマートシティ」の取り組みの一つである「ベンチャーを地域で支援する」一環として事業化したもので、三井不動産が工場事業主となり、みらいが工場を運営する。生産された野菜は、JAグループをはじめとする系列団体が国と連携して設立した6次産業ファンドからの出資を受けたみらいトレーディングがパッキングして出荷する。

 工場は、三井ホームが2×4工法で建設したもので、同社の過去最大の約150坪の無柱大空間を実現した。

 野菜は、外気を遮断し、無菌状態に保つ環境で栽培するために農薬は必要なく、また、天候や環境の変化を受けないので安定的効率的に供給することができる。清潔で苦みが少なく栄養価の高いものが生産できるのも特徴。

 発表会に臨んだみらい・嶋村茂治社長は、「おいしさにはものすごくこだわった。自負がある。絶対自信がある」と強調した。

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嶋村社長

◇       ◆     ◇

 嶋村社長が「味には絶対の自信がある」と断言した。〝疑ってかかる〟のが記者の習性だ。ならば自分の味覚で試してみようと思った。見学会には試食用として4種のレタスが用意されたので、それぞれ2枚(レタスの葉っぱは1枚、2枚と数えるのかどうか)以上だから10枚は食べた。

 しかし、トマトなら味が分かるが、レタスのおいしい不味いは即断できなかった。ならば、自宅のレタスと食べ比べようと考えた。駅前のららぽーとに出店している東急ストアで売っていると聞き、買いに行った。1人でレタスを買うのは10年ぶりくらいだ。

 ついでだが、先週の金曜日は、みらい平のスーパーで地元の農家が生産したトマト1パックを240円で買った。夕方予定されていた大京の広報や記者の方たちとの飲み会で食べるためだった。これは抜群においしかった。月曜日は、郊外の100円回転すし屋に入った。注文の仕方が分からず、となりのおばあちゃんから頭上のボタンの押し方、ワサビや醤油の使い方、お茶の入れ方を懇切丁寧に教えてもらい、イワシとイカを頼んだ。ややあって寿司が飛んできた。あまりにも不味く店を飛び出した。216円だった。あのイワシは間違いなく家畜に食べさせるアンチョビだ。職もそうだが、わが国の食はどうなっている!

 話しをもとに戻す。驚いた。記者の前にいたいかにもサラリーマン風の中年の人が買い物籠も持たず何と5袋も鷲づかみにして買ったではないか。送迎のバスを降りて真っ先にスーパーに入ったのは記者だけだった。レタスを買った人は絶対に同業ではない。まさか。記者が買いに行くのを知ったみらいが、売れていることを思い込ませようと送り込んだ回し者、サクラでもないはずだ。

 記者も負けずに5袋買おうと一瞬考えたが、思いとどまった。家に帰って怒られるのが落ちだ。結局、3種くらいあったうちの1種1袋を買った。消費税込で204円だった。サラリーマン風の人は1000円分のレタスを買ったことになる。

 夜、酒と一緒に自宅のレタスと混ぜて食べ比べた。「あなたね、これ高いわよ。うちは1個150円。値段? 野菜は価格があってないようなもの。この前までこのレタスは1個300円」と言われながら食べ比べたが、結局、味は同じだった。嶋村社長に軍配を上げるわけにはいかないが、洗わなくても食べられるのはいい。しかし、やはりやや高いか。スーパーで買った人はベジタリアンにしては太っていたし、富裕層が勤務中にレタスを買うはずがない。いまだに謎だ。

 こんなことを書くから「お前ねぇ、書きすぎだよ」と先輩記者にいつも怒られるのだが、自分の目や足、時には味覚まで動員して記事を書くから読まれるのだと思う。それにしてもやはり書きすぎか。これだけで900字近く。1行15字の新聞が発行されているときだったら60行。即刻クビだろう。当時、この先輩記者からは1本の記事は50行にとどめるよういつも指導されていた。先輩は「…の時代だ」などと預言者のような記事をいつも書いていた。

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記者が買ったのは左のほう(右のほうはよりシャキッとしたものだったか)

◇      ◆     ◇

 だらだらとつまらない記事を書いてしまい申し訳ないが、もう少し辛抱して読んでいただきたい。嶋村社長は、この植物工場を南極昭和基地でも稼働させ、同様の工場を何とモンゴルに輸出したと話した。

 記者は零下20~30℃の極寒のモンゴルに3回くらい行っている。モンゴルでは野菜は全て輸入。水と同様、貴重だ。工場とはいえ野菜が作れるはずがないと思った。プレハブのような工場で暖房施設がなければ水は一瞬にして凍るし、できた野菜は冷凍で出荷するのならともかく、暖房費用を考えれば中国、ロシア、カザフスタンなどの輸入品に勝てるわけがないと考えた。

 そこで、嶋村社長に「暖房をかけまくってCO2をまき散らす気か」と食い下がった。嶋村社長は平然と答えた。「冬でも工場内は暖房はいらない。冷房をかけているくらい。野菜に照射する電気の温度だけで大丈夫」と。後で聞いたら、工場の断熱材は15センチほどのサンドイッチパネルを使用しているとのことだった。三井ホームが建設した今回の工場では厚さ18.4センチの壁が用いられている。三井ホームの技術者によると「断熱性能の高いものならモンゴルでも可能」と話した。

 発表会に同席した千葉大学名誉教授・古在豊樹氏(哲学者・故古在由重の長男)は、「工場で使用する水は90%再利用できる。データはないが、中国などから貨物で輸入する植物の輸送コストを比較したらそんなに高くないはずだ。10年以内にコストは半分になる」と、価格競争でも十分勝算があると語った。

 もう一つ、疑問に思っていることがある。今回の施設は「工場」だ。〝農のある街〟が植物工場の目指すものだそうだが、街中に工場を作って農地並み課税なら理解できるが、宅地並み課税されて、果たして農地で作られる野菜と競争できるのか。また、農地や調整区域に「工場」を建てるのは許可が必要で容易でないはずだ。

 この点について、三井不動産ビルディング事業企画部長・小野雄吾氏は「工場のあるところは準工地域。投資額は6億円。宅地並み課税だが、収支はあう」と自信をのぞかせた。

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工事中の植物工場(どうしてこれほど美しい木組を他の工場と同じサイディングボードで覆わなければならないのか。記者は全く理解できない)

 

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