「誰が想像しただろうか」「想像を超える未来」-シアターの画面にナレーションのこの言葉が出たとき、他の人は分からないが、少なくとも記者は「想像すらできなかった」と認めざるを得なかった。完敗だ。
シアターとはこの日7月10日、野村不動産の立川駅前の再開発タワーマンション「プラウドタワー立川」の記者発表会で映し出された画面であり、露ほども想像できなかったのは坪単価342万円の高さであり、想像力を働かすことができなかった自分の甘さを痛いほど思い知らされた。
それもこれも、わが街多摩センターと比較したことが最大のつまずきだった。確かに駅前に伊勢丹と高島屋のデパートができ、多摩モノレールの駅も南と北に二つもできたあたりから立川は劇的に変わったのはよく理解している。多摩エリアの中核都市でもある。
しかし、その一方で、このマンションの従前敷地は「デパート」には程遠い古い汚い線路際の建物のイメージしかなく、馬券売り場や競輪場などの施設は決して立川のポテンシャルを上げる役割を果たしていないだろうと考えていた。
これが甘かった。再開発によって古いビルは立川のランドマークとしてふさわしいマンションになるのは間違いない。地域のアッパーミドル、富裕層のニーズをものの見事にとらえたマンションだ。改めて立川のポテンシャルの高さと、同社「プラウド」の商品企画の高さを思い知らされた。多摩センターとは比較にならない、おそらく10年たっても20年たっても多摩センターが立川を上回る魅力ある街にはならないだろうと諦観した。
ラウンジ
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「プラウドタワー立川」は、中央線・南武線・青梅線立川駅から徒歩2分、立川市曙町二丁目に位置する32階建て全319戸(非分譲住戸27戸含む)。専有面積は55.01~108.00㎡、1期(230戸)の価格は5,248万~1億6,598万円(最多価格帯7,300万円台)、坪単価は342.5万円。登録受付は7月12日~7月20日。竣工予定は平成28年7月下旬。施工は清水建設。監理は松田平田設計。
敷地は「第一デパート」の跡地で、平成7年から再開発の勉強会が始まり、紆余曲折の結果、平成22年に同社が事業に参画することが決まった。約50人地権者の全員同意で再開発が決議された。住宅は9階以上で、それ以下には公共施設、商業施設が併設され、駅北側と南側を結ぶ自由通路も開設され、建物のすぐ近くには駅の改札も新設される。
建物は駅とペディストリアンデッキで結ばれ、敷地が東西に長いことを利用して55㎡台の住戸も含め間口は最低でも7.9mという高い居住性を確保しているのが特徴。階高は約3.3m、リビングの天井高は約2.6m。SIを採用することによってオーダーメイドのほか、間取りが無償で変更できる「ライフスタイルセレクト」を採用。カフェコーナー、小上がり、ホームシアターなど趣味に合わせた間取りも可能だ。
キッチン、洗面、トイレのカウンタートップは御影石が標準。全体として設備仕様レベルは高い。
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正直に書くと、昨年の段階ではこのマンションの坪単価は300万円くらいだと思っていた。建築費は上昇傾向にはあったがそれほど顕在化しておらず、相続税・贈与税の税率変更による富裕層の動きもさほど大きくなかったころだ。
ところが、2020年のオリンピック開催が決定されたあたりから一挙に先高観が広がり、アッパーミドルや富裕層向けマンション需要に火がついた。その流れは強まるばかりだ。
今回の坪単価は最近の高額マンションの動向などを考えると、342万円には記者は驚いたが、来場者は2,500件に達しており、1期230戸の早期完売に担当者が自信を見せていることが何よりもユーザーが支持していることを雄弁に語っている。