明和地所が8月上旬に分譲する「クリオ聖蹟桜ヶ丘サクラテラス」を見学した。立地、設備仕様レベルが高く、記者の予想した単価だったら間違いなく売れるマンションだ。
物件は、京王線聖蹟桜ヶ丘駅から徒歩7分、多摩市一ノ宮4丁目に位置する10階建て45戸の規模。専有面積は65.02~85.85㎡、価格は未定。入居予定は平成27年6月下旬。設計はAUS総合研究所。施工は大勝。
現地は、川崎街道に面したマンションなどが立ち並ぶ一角に位置し、用途地域は商業地域だが、建物の南側は第一種低層住居専用地域。同駅圏では以前から人気になっていたマンション適地だ。
設備仕様レベルが高いのも特徴のひとつ。45戸の中規模だがディスポーザが標準装備。食洗機も付き、キッチン、洗面室の天板は御影石、床はブラックチェリーの突板仕様、収納扉はソフトクローズ、二重床二重天井。最上階の85㎡台の3住戸はワイドスパンで天井高約3m。
同駅圏では3年ぶりの新規供給。3年前の物件よりはかなり単価は高くなるが、最近の建築費の上昇、立地条件、設備仕様などをどこまでアピールできるか。
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記者がモデルルームを見学しているとき、同社・原田英明社長が見学に訪れバッタリ鉢合わせした。社長は驚いたようだが、絶好の機会だと思い、「社長、キッチンも洗面も御影ですよ。食洗機も標準で、床は突板。収納はソフトクローズ。この駅圏ではレベルが高い。山の上の富裕層の買い増しも期待できるかもしれない」と、同社の営業マンになったつもりで〝説明〟した。
その上で、「問題は価格。○○万円でどうですか」と畳み込んだ。原田社長はにやりとし「知ってんじゃないの。ダメ、書かないで。まだ決めていないんだから。それより、最上階の住戸を買いませんか」と返された。
原田社長との約束だから、ここでは単価は書かない。まず予想通りか、それより若干高い価格に収まりそうだ。
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記者は、同社の設立の経緯を知っており、当初からずっと取材してきてきた。創業者の故・原田利勝氏からは「取材は受けない」と拒否され続けたが、創業時の〝右腕〟だった高杉仁氏からマンションのイロハを教わった。
「国立」マンション問題でつまずいたが、それまでは意欲的な商品企画で業界をずっとリードしてきた。100㎡マンションの走りでもある〝レミントンハウス〟で分譲マンションとしてはわが国初のディスポーザ付きを標準装備した。それまでディスポーザは、外国人向け賃貸や一部の高級マンションなどでは採用されてはいたが、都の基準では認められておらず、全て非公式だった。
同社はその後、リーマンショックの影響もあり長期低迷が続いてきたが、財務改善も進んでいるようだ。商品企画で再び輝きを取り戻してほしいと願っている。