消費税が10%に引き上げられる前に住宅を購入したい人は26.8%-野村不動産アーバンネットは7月29日、こんなアンケート調査結果をまとめ公表した。
消費税10%の引き上げが決定した場合の影響について聞いたところ、「10%に上がる前に購入したい」がもっとも多く26.8%で、「購入計画への影響は受けない」が26.3%、「購入計画を見直したい」が17.5%、「当面の間、購入を見合わせたい」が26.1%だった。
このほか、不動産の買い時感については、「買い時だと思う」「どちらかといえば買い時」を合わせると53.4%になり、不動産の価格が「上がると思う」と答えた人は44.2%だった。
調査は7月8日から14日まで、同社の不動産情報サイト「ノムコム」の会員を対象とした「住宅購入に関する意識調査」の結果分かったもので、回答者は首都圏に住む約1,700人。
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回答者の所得などの属性がいま一つよく分からないので何とも言えないが、消費税が10%に引き上げられた場合の答えは微妙だ。
消費増税の影響を受けないと考える人と「上がる前に購入したい」と考える人は過半を超えたが、購入計画を見直したり見合わせたりする人も43.6%に上った。
引き上げられても影響を受けないのは富裕層やアッパーミドルだろうから心配ないのだが、見直し・見送りが約44%にも上るのは第一次取得層向けにとっては深刻な事態になりそうだ。消費増税ばかりでなく、建築費の上昇で間違いなく価格も上昇するからだ。仮に今後10%価格が上昇したら、価格上昇と消費増税のダブルパンチを消費者は受けることになる。
マンション業界では、生鮮食品や日用品メーカーが中身を少なくして価格を据え置きにしているのと同様、建築費や用地取得費の上昇を価格に転嫁していないように見せるために専有面積を圧縮したり設備仕様を落としたりして対応している。
その典型例が武蔵小杉だ。従来、このエリアのマンション単価は290万円台の前半だったが、あるマンションは320万円になった。10%の上昇だ。しかし、このマンションは廊下面積を減らすなどして専有面積を約10%圧縮したことで、分譲価格は従来の物件とほとんど変わらない価格で分譲できた。
しかし、これもそろそろ限界だろうし、第一次取得層向けの価格も取得限界にきている。
最悪の場合は、富裕層・アッパーミドル向けのマンションが飛ぶように売れ、第一次取得層向けは供給が細り売れ行きもダウンするといういびつな図式が形成されるかもしれない。