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2014/08/28(木) 00:00

「利便性、資産性がこれほど重視される時代はない」 トータルブレイン久光社長

投稿者:  牧田司

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久光社長

 「今日ほどマンションの利便性、資産性が重視される時代はない。富裕層・アッパーミドル向けは絶好調だが、年収が400~600万円台の第一次取得層向けは激減している。この傾向は益々強まり、〝新々価格〟が前倒しで一部供給されているように、価格もこれから10%は上昇する。郊外を除き3,000万円台の物件がなくなる。消費税率も10%に引き上げられるのは間違いない」-マンションのコンサルティング事業を展開しているトータルブレイン・久光龍彦社長がこう語った。

 一般サラリーマンにとってはショッキングな話だ。しかし、久光氏が語るとなると信じざるを得ない。並みの評論家などとは比べようがないくらい裏付け・根拠がしっかりしているからだ。

 久光氏は言う。「本業をフォローする意味はありますが、いま月に40~45社くらい回っています。20社くらいは定期的に回っているところですが、残りは大手・中小、さらには流通業界までフォローしています。業界のご意見番として役立てればとやっています。

 マスコミじゃありませんからトップや秘書に直接電話してアポをとり出かけています。時候のあいさつもなし。すぐ仕入れやら単価の話に入る。相手のトップの方も外に漏れる心配がないから本音で話してくれる。皆さんからは『いつも少し先を読んでいらっしゃる』と仰っていただいています」

 月に40~45社というのはすごい。久光氏は74歳だ。1日2~3社もよく回れるものだ。

 マンション事業は水もの。一つのプロジェクトで用地の仕入れ-販売-引き渡しまで最低で1~2年だが、この間、一瞬にして市況が変わることもある。かじ取りを誤ればたちまち苦境に陥るのがこの業界だ。業界各社の動向を熟知している久光氏から各社のトップが情報を得ようとするのは当然だろう。お互い損得もないから忌憚のない言葉を交わせるのもうなずける。

 マスコミ関係者はこういう芸当はできない。昔は広報を通さず直接企業のトップに取材することもできたが、最近は広報のチェック体制が強化されており、そのような取材をやろうものなら取材チャンネルは遮断されるし、取材を受けたトップの責任も問われかねないからだ。

 記者はアポを取るのに時間はかかるしトップに易々と会えないから、現場に飛ぶようにしたのがマンション取材をするようになったきっかけだ。現場は正直だ。現場に行くと見えないものが見えてくるし話では分からない部分も分かるようになる。それでもいまは年間100件も見学していない。

 久光氏にはもう一つ、誰もが真似のできない経験・経歴がある。同社は今から15年前に久光氏が立ち上げた会社だが、久光氏はそれ以前に長谷工コーポレーション専務-長谷工不動産社長-長谷工アーベスト社長-長谷工コミュニティ社長を歴任している。施工から開発、販売・仲介、管理までマンションの川上から川下まですべて知り尽くしている業界人は久光氏をおいてまずいない。

 そういう人だから話は説得力がある。以下に久光氏の見解を紹介する。

 「年収が400~600万円台のサラリーマンが無理なく買える3,000万円台の物件は間違いなく少なくなります。建築費はこのところ20%くらい上昇していますが、このうち10~15%は売り値に反映させないようコストを削減すれば吸収できます。ところが20%を超えてくるとなると、体力のある大手はともかく中堅デベロッパーは価格にオンするか損切りせざるを得なくなると見ています。大手もこれ以上価格を上げると売れなくなるのは分かっているから、利益率を圧縮して〝新価格〟程度に抑えるはずです」

 「マンションの歴史を50年以上見ていますが、今日ほど好立地、利便性が重視される時代はありません。その背景には少子高齢化、空き家問題があります。最寄駅から遠い物件は中古になって売れない、貸せないとみんな思っています。だから狭くても高くてもいいから駅から近い物件を買う人が増えているのです。デベロッパーも(郊外の駅から遠い)価格の安さで勝負できなくなってきました」

 「価格はこれからあと10%は上昇するとみています。デベロッパーにはとにかく立地、好立地の仕入れに経営資源、人材を投入すべきと言っています。幸い、ブランド立地のものはファミリーもDINKS・単身者向けも投資需要も旺盛です。投資需要では湾岸マンションは台湾人など外国人が30%くらい買っています。一次取得層にとっては中古マンションが国の政策的な後押しがありますから大きな選択肢の一つになる時代がやってくるでしょう」

◇      ◆     ◇

 久光氏の見解をよく吟味して物件選考の参考にしていただきたい。記者がコメントを挟む余地などまったくない。ただ一つだけ言わせていただければ、記者は子育て層には駅から遠くても住環境がいい緑が豊富な郊外物件も選択肢に入れるべきだと思う。マンションは金融商品ではない。ライフスタイルをよく考えてほしい。

 

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