過熱(加熱)に順応、冷え込みに強い「木造」証明
積水ハウスは9月4日、2014年度第2四半期決算を発表。売上高9,101億円(前期比7.7%増)、営業利益717億円(同28.7%増)、経常利益752億円(同30.5%増)、純利益421億円(同23.9%増)となり、上半期過去最高の売上高となり、5期連続の増収増益。請負型、ストック型、開発型とも増収増益となり収益構造の安定化が業績を押し上げた。
セグメント別では主力の戸建住宅は消費増税の反動減で影響は受けたものの1棟単価が上昇し、相続税対策などで大幅に伸びた賃貸住宅が戸建ての落ち込みをカバーした。また、リフォーム、不動産フィー事業も高水準で推移し、戸建て分譲やマンションは利益率が改善した。国際事業では政治・経済改革の影響を受けた中国は不振だったが、オーストラリア、シンガポール、アメリカはいずれも販売は好調に推移している。
通期予想では売上高1兆8,200億円(前期比0.8%増)、営業利益1,420億円(同7.6%増)、経常利益1,490億円(同30.5%増)、純利益860億円(同7.8%像)を見込む。配当も期初予想通り50円(前期43円)に増配する予定。
受注状況では、消費増税の反動減を受け、戸建住宅は期初予想の15.3%減を大幅に上回る33.3%減となり、他の事業でカバーしたものの全体で10.2%減となった。
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記者は木造ファンだから書くのだが、同社の木造戸建てブランド「シャーウッド」が同社主力の「鉄骨戸建」を激しく追い上げ、消費増税の駆け込み反動減の厳しい環境下でも大健闘している。過熱(加熱)にも冷え込みにも「木造」は強いことを証明した。
同社の当第2四半期の戸建請負事業の鉄骨戸建(以下「鉄」)売上げ戸数が4,941戸(前年同期比4.8%減)、売上高が1,502億円(同13.1%減)となっている。一方、木造のシャーウッド戸建(以下「木造」)は戸数が2,102戸(同1.8%増)、売上高が721億円(同1.2%増)となっている。
また、分譲住宅事業の「鉄」の売上げ戸数が802戸(同8.7%減)、売上高が224億円(同9.2%減)となっている。これに対して「木造」は戸数が334戸(同5.9%減)、売上高が0.4%増)となっている。
受注高も同様だ。「鉄の」戸建請負の第2四半期受注棟数は「鉄」が3,302戸(同40.7%減)で、「木造」は1,743戸(同29.8%減)、分譲の「鉄は」639戸(同29.9%減)で、「木造」は308戸(7.2%減)だ。
絶対数が大きく異なるので単純比較はできないにしろ、木造が大健闘していると受け取れる。
この傾向は今期だけではない。ここ数年来続いている。2011年度の戸建請負の「鉄」が10,905戸だったのに対し「木造」は3,807戸だった。2013年度は「鉄」は10,658戸(2011年比2.3%減)であるのに対し「木造」は4,392戸(同15.4%増)となっている。つまり「鉄」はやや頭打ちで、「木造」がものすごい勢いで「鉄」を追い上げている構図だ。このまま「鉄」が横ばいを続ければ、10年後には「木造」が逆転する可能性もある。
この話をすると同社関係者は笑って取り合わない。営業マンの配置構成は「鉄」が7に対し「木造」は3だという。ならばこの比率を変えたらどうなるのか、あるいはまた鉄と木造の垣根を取っ払ったらどうなるか。これは興味深い。
同社も営業マンも受注するのなら鉄だろうが木造だろうがどちらでもいいはずだ。決めるのはお客さんだ。これは言い過ぎかもしれないが、住むなら鉄より木がいいに決まっているではないか。国も木造の普及促進に必死だ。同社の鉄と木造の数値は今後も注視したい。