東京都港区の平成26年7月1日現在の課税標準額が1,000万円の納税者は過去最高の17,830人(前年比978人増)となり、全納税者に占める割合は14.0%(同0.5ポイント増)となった。
課税標準額とは、所得税や住民税を課す際の対象となる額のことで、給与所得、退職所得、山林所得などの総所得から社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除などを差し引いた額を指す。
港区では、これまで課税標準額が1,000万円以上の納税者がもっとも多かったのは平成21年度の17,752人(構成比15.0%)。リーマン・ショックの影響などで22年には16,135人(同13.7%)に減少したが、その後、漸増していた。
平成26年7月1日現在の課税標準額が1,000万円の層の総所得金額は1兆776億円で、これも過去最高となった。単純に17,830人で割ると6億円だ。区全体の所得割額は約649億円で、このうち課税標準額1,000万円の層の所得割額は約436億円。区の納税者の14%に当たる層が全体の67.3%の税金を納めていることになる。
高額納税者が増えている要因はデータだけでは分からないが、景気回復による所得増、株高、富裕層の転入、贈与などが考えられる。
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記者は港区内でお金持ちが増えている要因の一つに外国人、とくに米国人の増加が要因の一つと仮説を立てた。
平成20年ころ、港区に住む米国人は約5,000人を超えていたが、リーマン・ショックや東日本大震災の影響もあってか平成23年には4,000人くらいに減っていた。記者は米国経済の回復やアベノミクス効果で持ち直していると考えたのだ。
ところが、これが大外れ。平成26年7月現在の米国人は3,342人だ。この5年間で3割以上も減少している。減った米国人はどこに行ったのか。この理由が全く分からない。港区に住むお金持ち外国人は巷間言われるように米国人ではなく、中国やシンガポールなどの東南アジアの人たちか。
そこで、中国、韓国・朝鮮の港区居住者を調べた。何と双方ともリーマン・ショックも東日本大震災も関係なしに増え続けており、今年7月現在、中国人は3,580人、韓国・朝鮮人は3,587人だ。米国人を逆転しているではないか。平成20年ころは中国人も韓国・朝鮮人もともに米国人の半数しかいなかった。