相鉄不動産(事業比率50%)、ジェイアール西日本不動産開発(同20%)、西日本鉄道(同10%)、長谷工コーポレーション(同20%)の4社JVマンション「グレーシアシティ川崎大師河原」を見学した。一般には馴染みのない京急大師線産業道路駅から徒歩4分の全558戸の大規模物件で、坪単価は168万円。再開発の将来性をどこまでアピールできるかが販売のカギを握っている。
物件は、京急大師線産業道路駅から徒歩4分、川崎市川崎区大師河原二丁目に位置する15階建て全558戸。1期(100戸)の専有面積は68.70~90.12㎡、価格は2,938万~5,168万円(最多価格帯3,400万円台)、坪単価170万円。竣工予定は平成28年4月中旬。引き渡し予定は同年6月末日。施工は長谷工コーポレーション。9月19日から販売が始まっている。
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記者はこれまで首都圏の300駅くらいはマンションや戸建ての取材で降り立っているはずだが、今回の「産業道路」駅は初めてだった。現地は正直に言えば、駅名そのもの産業道路や高速道路が走り、工場街そのもの。現地はマンションの跡地。
弾いた坪単価は170万円だった。160万円くらいだったら飛ぶように売れるだろうと思ったが、最近の建築費の上昇をかんがえるとやはり160万円台では無理だと結論付けた。坪単価168万円は心憎い価格設定だ。
最大の特徴は再開発による将来性だ。市の「多摩川リバーサイド地区整備構想」の一環として約3.4haの「産業道路駅駅前地区計画」が都市計画決定されており、駅舎は平成30年度までに地下化が予定され、駅前も交通広場として整備される予定になっている。具体的な計画は未定だが、隣接する住宅やビルなどが混在する「C地区」も再開発の予定地になっている。
そうなれば街は一変するはずだ。現在の「徒歩4分」の広告表示も「徒歩1分」になるのではないか。マンションの敷地内には都市型小型スーパー、認可保育所も開設される予定。
この利便性をどこまでアピールできるか。1期は大量の100戸。販売担当者は「竣工まで完売? もちろん」と自信を見せていた。90㎡台で価格が5,000万円台の住戸(15戸)が人気だとか。
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京急大師線など全然知らないという方に少し沿線のマンション市場について紹介する。
その一つ、「産業道路」駅より1駅手前の「東門前」駅は、これまで結構取材している。リーマン・ショック前の2008年に分譲された「フォレシアム」(777戸)は坪単価180万円だったが瞬く間に売れた。当時、業界でも話題になったほどだ。
2010年には「鈴木町」駅前の「パークホームズグランファースト」(308戸)がわずか3か月で完売した。
「川崎」駅から1つ目の「港町」駅前では京浜急行と大和ハウスによる大規模マンション「リヴァリエ」も3年前から継続して分譲されている。
これらの記事と合わせ読んでいただければ、沿線の市場が少しは分かっていただけるはずだ。
それにしても「産業道路」という駅名はいかがなものか。住民からも名称変更の要望があるようだが、京浜急行はどうするか。駅員に「地下化されたら駅名も変わるんですか」と聞いたら、「変わりません」というつれない返事が返ってきた。本社広報に聞こうとしたが、受付で「申し訳ございません。そのようなことは聞いておりません」と言われた。そこで「花月園前はどうですか。競輪場はなくなりましたよね」と聞いたが、やはり答えは同じだった。
期待通りの京急・大和ハウス「Riverie(リヴァリエ)」(2011/6/3)