ミサワホームの軸組工法による分譲戸建てブランド〝アルビオコート〟第一弾「アルビオコート・一橋学園」を見学した。注文住宅の伸びが期待できない今後の市場を見据え、分譲戸建てでカバーする狙いがありそうだが、全13棟とも造り手の思いが伝わってくる商品企画だ。同業他社や大手デベロッパーとも十分戦える商品と見た。
物件は、西武多摩湖線一橋学園駅から徒歩13分、小平市小川町2丁目に位置する全13区画。建蔽率40%、容積率80%地域。敷地面積は122.20~124.34㎡、建物面積は96.67~99.36㎡。現在分譲中(5戸)の価格は4,390万円~4,890万円。構造・規模はミサワホームMJウッド(耐震木造住宅)2階建て。施工はミサワホーム多摩。建物は竣工済み。販売代理は三井不動産リアルティ。
道路には保水性のインターブロックを敷き詰め、建物外観は南仏・プロバンスの街並みをモチーフにオレンジの瓦と塗り壁風の白の外壁が特徴で、凹凸をつけることで陰影を醸し出す工夫も凝らしている。全棟に印象的な意匠ウォールを施している。
建物プランが面白い。全棟とも「階段書斎のある家」「思い出ギャラリーのある家」「小料理屋さん風キッチンのある家」「ホームパーティができる家」「土間部屋のある家」「週末はアウトダイニングの家」など個性的なものばかりだ。
これまで青田の段階で4棟が売れており、ほぼ半数の契約が現段階で見込まれている。年末までは完売したい意向だ。
同社は3年後までに軸組工法による分譲戸建てを400~500戸供給する目標を掲げている。
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同社の分譲戸建てを見学するのは久々だし、もちろん軸組工法は初めてだ。最近見学した三井不動産レジデンシャルの「ファインコート国分寺日吉町」とはコンセプトもターゲットも全然異なるので比較はできないが、どちらかと言えば野村不動産の〝プラウドシーズン〟に似ているといえば似ている。いわゆるパワービルダーの戸建てとは全く異なる。
街並み、建物の商品企画・設備仕様などを総合的に評価すれば、価格は間違いなく安い。
思い切った商品企画を採用しているのは、他社と異なり一人の担当者が一気通貫で担当するからだろう。この現場も説明を受けた分譲開発部建売分譲課の多井中新介氏が用地の仕入れからプランニング-販売までを担当している。多井中氏が自ら作ったというコンセプトブックは3冊もあり、全部で56ページもあった。
個性的なプランの提案は勇気のいることだが、平凡な万人向けのプランよりいい。そのプランを気に入った一人に買ってもらえばいいのだから。本来の分譲戸建てとはそのようなものだ。
意匠・デザインはそれぞれ好みがあるので何とも言えないし、他社との差別化を図ろうという意図があったのだろうが、巾木が10㎝くらいあるのはいいのだが、回り縁が〝立派〟すぎ、ケーシングもやや派手だと思った。同社の注文住宅は〝シンプルイズベスト〟だそうだが、記者も賛成だ。シンプルなほうが美しい。
もう一つ、これはいいと思ったのが子ども部屋だ。広さは4.5畳大になっていた。同社は「子ども部屋」の「個室」は「子失」という考えが浸透しており、広さを狭くし、その代わりに親子や家族が集えるスペースを確保することに力を入れているとのことだった。