住宅生産振興財団がコーディネーターとなり、大手ハウスメーカー7社が開発を進めている全95区画の「クイーンズフォレスト流山おおたかの森」を見学した。
物件は、つくばエクスプレス・東武野田線流山おおたかの森駅から徒歩10分、千葉県流山市十太夫に位置する全95区画。建ぺい率60%・70%、容積率200%地域。土地面積は150㎡以上。現在分譲中の建築条件付き宅地分譲(16区画)は3,230万円から。分譲住宅(16戸)は5,672.4万~6,980万円(最多価格帯6,200万円台)。
昨年4月から分譲されており、これまで58区画が分譲済み。各社の販売区画は以下の通り。
積水ハウス6区画(全22区画)、大和ハウス5区画(全20区画)、ミサワホーム東関東11区画(全20区画)、住友林業ゼロ(全5区画)、トヨタホーム12区画(全15区画)、パナホーム1区画(全5区画)、三井ホーム1区画(全8区画)。
もともとマンション用地だったところを、街のシンボルとなる戸建て住宅地に変更されて開発されたもので、2年前、7社JVがUR都市機構から用地を取得した。電線を地中化し、植栽豊かな開放的な街づくりがされており、ガードマンが巡回するタウンセキュリティも導入されている。管理組合が設立されており、立派な平屋の集会室もある。
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同行していただいた同財団の天谷正法事業部長に街づくりについて説明を聞いたのだが、嬉しくなるような話から始まった。天谷氏は同財団が発行する「家とまちなみ」に掲載されている井崎義治・流山市長の意気込みを紹介し、井崎氏が市長に当選して最初に見学した団地が日野市の「高幡鹿島台」だったことを話した。
記者は、井崎氏が市長に当選してから3年目くらいだったか、流山市の街づくりについて話し合ったことがある。つくばEX沿線で大量の住宅地が供給されるが、従来型の街づくりでは成功しないこと、都市間競争に勝てないことで意見の一致をみた。井崎市長には先進的な取り組みをしているデベロッパーも紹介した。
そのとき、「高幡鹿島台」の話が出たかどうかは覚えていないが、「高幡鹿島台」は宮脇檀氏が設計した代表的な団地で、記者も数回訪ねている。こんな素晴らしい団地はもうできないだろうし、井崎市長がわざわざ東京の西の外れまで見学に行ったというのが嬉しかった。
写真を見ていただければ分かる通り、メインストリートの道路幅は約9m。建物は1mくらいセットバックされているので見事な街並みが形成されている。植栽も見事。センターサークルには「ハナチルサト(花散里)」という葉っぱが七色に色づくという高木が植えられていたが、これこそ宮脇氏がよく用いた「道から造る」手法の一つだ。宮脇氏はシンボルツリーに貧弱な幼木を植えるようなことはしなかった。亡くなって16年になるが、その街づくりの思想は生きていると思った。
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各社の売れ行きにかなり差があるのも注目される。記者は街並みを見学しただけでモデルハウスはごく一部しか見ていないので何とも言えない。
ただ、住友林業と三井ホームがよく売れているので、「木造の家」がユーザーに支持されたのだと勝手に解釈した。住林の販売を担当した柏営業所担当者もそのことを否定しなかった。担当者は「あのエリアには自然志向の人が多いのか、当社はモデルハウスを建築中に契約できたし、残りの4区画についてもまったく営業活動はしていない。瞬く間に売れた」と話した。
同じ木質系のミサワホームのモデルハウスは見学したが、ヒット商品の「蔵のある家」だった。5層もあるのは大家族にはいいが、小家族にはどうかと思った。