川越エリアとの親和性を高めた三井ホームの商品企画モデルハウスがヒットした。日本古来の風情が色濃く残る小江戸文化をモチーフにし、現代風にアレンジした「川越モデルハウス」を8月末に開設してから来来場者は他社を大きく引き離し、2カ月弱で7件を成約するなど上々のスタートを切った。10月27日、報道陣向けに見学会を行った。
初代「オークリー」の発売から15年が経過するが、川越エリアでも従来から和風を要望する顧客が多かったためにモデルチェンジしたもので、粋でお洒落な小江戸文化のモチーフを、現代風にアレンジして外観デザイン、設備仕様に取り込んでいるのが特徴で、人を招き入れる、人とつながる家という「ジャパニーズモダンインテリア」がコンセプト。
コイズミ照明とコラボし、LEDの特徴や光と心理の関係性をとらえ、必要なところに必要な光を配することで心地よい暮らしを提案しているのも特徴。
見学会で挨拶した同社埼玉支店支店長・幸田知久氏は「来場のすごさに驚いている。立地はくじ引きでそれほどいい立地ではなかったが、これまでの来場はトップ。他の大手の2倍、3倍くらいある。オークリー仕様での契約は従来も年間で10件くらいあったが、今回はすでに7件。成約単価も従来と比べ上昇傾向にある。アッパーミドル・富裕層も多い川越エリアで三井らしい和風の提案を行ったのが人気の要因」などと語った。
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写真を見ればよく分かるが、外観が美しい。ほぼシンメトリーでレットシダーの天然木に塗り壁、石を想起させるタイルを多用し、縦と横のラインを強調することで品格を醸し出している。玄関には本物の大谷石とタイルを組み合わせ、壁などにはナグリ調の化粧板やウォールナットの床・建具・格子を多用。
圧巻は光壁のあるリビングと4段の階段でつながるスキップライブラリー。高さ約5.4mの吹き抜けまで届く本棚の演出が見事だ。
また、広い土間や和室の「おもてなしの間」など人を迎え入れる空間設定にも力を入れており、多目的に利用できる「三和土」がまたいい。関係者らは商品開発に当たって隈なく市内を練り歩いたというが、このあたりがその成果ではないか。三和土は「勝手口」に近いものだが、それよりやや広く腰掛けるベンチもあり、畑仕事やら近所づきあいのスペースとして適している。2階に設けたチーク材のヘリンボーンの寛ぐ空間「リトリート」もなかなかいい提案だ。
記者は木造の時代が到来したと思っているが、同社も今回の和モダンがヒットしたことから木の良さを前面に打ち立てて攻勢に出るのではないか。
モデルハウスの建築費は8,000万円(70坪、坪単価114万円)。