三井不動産レジデンシャルが分譲中のマンション「パークホームズ流山おおたかの森ザレジデンス」を見学した。同社が同じ沿線で分譲中の「パークシティ柏の葉キャンパス二番街」(880戸)とどちらがいいとは言えないが、沿線のマンションとしてはトップクラスの質だと思う。
物件は、つくばエクスプレス(東武アーバンパークライン)流山おおたかの森駅から徒歩3分(4分)、に位置する11階建て全257戸。専有面積は58.86~90.67㎡、坪単価は190万円前後。入居予定は平成27年12月上旬。施工は長谷工コーポレーション。今年6月から販売を開始しており、これまで約150戸販売済み。
建物のデザイン監修は建築家の藤原益男氏。全戸南西向き3棟構成で、外壁にレンガやライムストーンなどの自然素材をモチーフとした色調のタイルを組み合わせることで各棟の表情を微妙に変えている。「樹木は限りなく多く、高さ10mクラスの高木もできるだけ取り入れています」(パンフレット)とあるように植栽にも配慮している。線路に沿って「フォレストコリドー」を設置し3棟を繋げているのも特徴。
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まだ販売開始して間もないがよく売れている。これまで同駅圏で分譲されたマンションがどれだけあるかデータはないが、2006年に分譲された第一号のオリックス不動産・東京建物「ザ・フォレストレジデンス」(524戸)をはじめ、住友不動産が4棟590戸を供給しており、そのほかプロパスト、藤和不動産(現三菱地所レジデンス)、大成有楽不動産、三交不動産などの物件をトータルするとこの8年間で2,000戸をはるかに突破しているはずだ。
この数字は驚くべき数字だ。隣の「柏の葉キャンパス」では三井不動産レジデンシャルが「一番街」(977戸)と「二番街」(880戸)を分譲しており、他を合わせるとやはり合計では2,000戸を突破しているが、「流山おおたかの森」は今回の物件を含めると「柏の葉キャンパス」よりは多いはずだ。
そして、特筆できるのは不振物件がほとんどないことだ。第一号の「ザ・フォレストレジデンス」は坪単価160万円だった。当時の相場より2割くらい高かったが、瞬く間に売れた。プロパストの物件は185万円もしたが、これも早期に完売した。
新しい街の「駅力」ランキングを相撲の番付表に例えれば、西の正横綱は間違いなく「武蔵小杉」だし、東は総合力で勝る「柏の葉キャンパス」が正横綱だろうが、「流山おおたかの森」はかつての「張り出し横綱」か「大関」だろう。
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なぜ「流山おおたかの森」のマンションや戸建てが高くても売れるのか、その理由の一つに、子育て環境がなかなか充実していることがあげられる。
今回の同社のマンションにも保育所が併設されるが、これは大規模な住宅開発には併設することが市から要請されていることを受けて設置されたようだ。
市は昨年6月、「流山市子育てにやさしいまちづくりの環境を整えるための大規模な共同住宅等の建築における保育所設置の協力要請に関する要綱」を施行した。地域の保育園の状況から判断して200戸以上のマンションなどを建設する事業者に市が設置を要請するという内容だ。要請を拒否しても罰則は書かれていない。
考えてみれば、この程度の規模で保育所が併設されるのはあまりないかもしれない。要綱ができる前に建設が始まった住友不動産「シティテラスおおたかの森ステーションコート」(328戸)には保育所はない。
もう一つ、「保育送迎ステーション」制度。市が平成19年に導入したもので、「流山おおたかの森」と「南流山」にそのステーションはあり、朝は7時以降、保護者が通勤途中に連れてきた子どもを送迎ステーションが預かり、バスでそれぞれの保育所に送迎(ただし、バスを利用できる園児は安全性の確保等から概ね2歳以上)し、夕方は18時までに保護者が送迎ステーションに迎えに行けばよいというサービス。午後9時までの延長保育(有料)も行っている。ステーションで預かっている時間はもちろん普通の保育サービスも受けられるというものだ。
1回(1日)の利用料金は100円/月額2,000円。平成25年度の利用登録者は全保育園利用者の10%弱で、年間の利用者は約56,000人(回)だという。
待機児童がほとんどゼロの横浜市でも同様の取り組みを行っている。厚労省にこの「保育送迎ステーション」について聞いたが、その実態を国は把握していないということだった。