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2014/10/30(木) 00:00

快適住まい 購入希望住戸から360°CG映像が見える「目黒都立大」

投稿者:  牧田司

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バーチャルモデルルームが設置されている「快適サロン工房」

 ばかばかしい前置きから読んでいただきたい。

 本日(10月30日)、長谷工コーポレーションが記者発表した「BIM(ビム)」の記事を書き、毎号頂いている、封がしているままになっていた長谷工総合研究所の「CRI」435号を読もうとした。「シングル層の住宅事情」が特集として取り上げられていた。全6ページ。最初のほうはマクロデータが紹介されていた。ざっと読んだ。

 3ページ目に、記者も面白いと思っている三井不動産レジデンシャルの「モチイエ女子web」が紹介されていた。

 そして、最後の6ページ目に「独身女性のマンション購入を応援したい」という見出しのコラム記事で、(社)女性のための快適住まいづくり研究会代表の小島ひろ美氏が載っていた。その中に「今回初めて売主として『サクラティアラ目黒都立大』(総23戸)を販売しましたが…」とあった。

 考えるより先に行動するタイプの記者だ。あとは読んでいない。すぐ快適住まい研究会に電話した。モデルルーム見学をお願いするためだ。小島代表が出られて「バーチャルモデルルームは近くにありますが、それでよかったら私がご案内します」と仰った。飛んで行った。

 以下が小島代表からお話を伺い、バーチャルモデルルームを見学した記事だ。「長谷工」がきっかけで見ることになったのだが、バーチャル映像の考え方はひょっとすると長谷工を超えるかもしれない、それほど面白い企画だ。

◇       ◆     ◇

 「サクラティアラ目黒都立大」は、東急東横線都立大学駅から徒歩9分、目黒区大岡山に位置する敷地面積約347㎡(容積率200%)の地下1階地上4階建て全23戸。専有面積は30.19~44.17㎡、現在分譲中の住戸の価格は2,698万~4,688万円、坪単価は342万円。竣工予定は2015年2月下旬。施工は村本建設。事業主は首都圏不燃建築公社。売主は快適住まいづくり。企画は女性のための快適住まいづくり研究会。販売代理は丸紅不動産販売。

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360°のCG画像(ほとんどの住戸からどのように眺望が展開するか分かる)

◇       ◆     ◇

 ここで詳しく紹介する余裕はないが、売主の快適住まいづくり(木村吉伸社長)と企画した女性のための快適住まいづくり研究会は以前から取材しており、一言で言えば、単身女性がマンションを買うようになった平成7年ころから一貫して女性のマンション購入を支援してきた会社と団体だ。コンパクトマンションを手掛ける多くのデベロッパーは小島氏に足を向けて寝られないはずだ。企画・販売協力は735物件、女性会員は74,670名にのぼっている。

 その会社・団体がどうして自社分譲なのか。ここが一番の興味の的だ。きっかけが面白い。たまたま小島さんが物件が売りに出ているのを見つけて、直接売主の建売住宅業者に電話して取得したのだそうだ。建売住宅にすると価格は当然1億円をはるかに突破する。売れないと読んでいたその業者にしてみれば〝渡りに船〟だったに違いない。

 そこからは圧倒的な会員数と企画・販売協力してきた実績がものを言う。事業主は首都圏不燃建築公社、販売代理は丸紅不動産販売、管理は三菱地所丸紅住宅サービス、セキュリティシステムはセコム。これ以上ない事業スキームを立ち上げた。

 商品企画はお手のものだ。過剰と思える設備機器はすべて排除した。直天に床暖房はなし(オプション可)、エアコンスリーブは1カ所などだ。そのかわり収納や使い勝手のよいフックなどはしっかりと設けたという。

 販売事務所を設置し、モデルルームやらパンフレット、模型などを作っていたのではそうでなくても利益率を抑えているのに利益などでない。会員を中心に分譲し、営業経費や広告宣伝費を削減することで数千万円の販管費を節約している。

 唯一と言っていいくらいお金を掛けたのがバーチャルモデルルーム。全16タイプの住空間を見ることができ、3階、4階の全住戸からは360度の眺望を見ることができる(2階は固定画面)。10億円以上も投資する長谷工の「BIM(ビム)」には質的に劣るが、バーチャル映像は素晴らしい。これこそ記者がデベロッパーに希望するものだ。

 さらにきめ細やかな配慮もしている。購入希望者には1回2時間の「ゼミ」をトータルで5回、つまり10時間受けてもらう。ここで不動産の基礎をしっかり学んでもらい、納得の上で購入してもらうのが目的だという。

 すごいのは「ゼミ」の終了ごとに「カルテ」を提出してもらって、疑問などを書き込んでもらって、小島氏が直々に返事を書くというものだ。分厚いファイルを見せてもらったが、細かい手書きの文字でそれは埋められていた。52人分あった。

 ◇      ◆     ◇

 まだまだ書きたいことがある。小島氏は他の女性もそうだろうが、間違いなく石橋だろうが鉄の橋だろうが叩いて渡るタイプだ。売れなかった時のリスクもきちんと考えている。頭金が不足していたり、ローン返済に不安を持っていたりしている人には車の試乗と同じように賃貸で貸すことも考えているという。

 最初賃貸で住んでもらって、購入する際にはその賃料のなにがしかを返戻することまで考えている。

 これは名案だ。かつて東急不動産は住宅が売れないころ、昭和50年代の後半だったと思うが、所有権と賃借権の選択制を採用したことがある。それとよく似ている。土地価格が下がる一方の局面では難しいかもしれないが、都心部の地価・建築費はまだまだ上昇する。これはヒットするかもしれない。

 同社は最近、コンパクトマンション事業を展開するためスタッフ3人の分譲事業部を新設した。2件目の「石川台」の分譲も決まっているという。自社分譲となると、企画・販売協力会社と競合しないかという心配もあるが、デベロッパーがやるような土地では間違いなくなさそうだ。

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ゼミの模様

三井不動産レジデンシャル、女性向けサイト「モチイエ女子web」(2014/7/29)

“マンションを買って結婚する”女性増える 快適住まい・木村社長(2012/9/21)

 

 

 

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