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2014/11/26(水) 00:00

ハウスメーカー2強 〝住〟を深掘りする積水、多角化進める大和ハウス

投稿者:  牧田司

積水ハウス 請負型・ストック型・開発型3つの輪が核

 積水ハウス代表取締役社長兼COO・阿部俊則氏は11月14日に行われたメディア向けの経営計画説明会で、請負型・ストック型・開発型の3つの輪が相互に連接する〝住〟に特化した成長戦略を展開し、2016年までにROE10%以上を定着させる筋肉質の会社にすると、1時間近くにわたってよどみなく語った。

 業績については別掲の表を参照していただきたい。2期にわたって過去最高売上&過去最高利益を更新したことから舌は滑らかだった。全体で38もあるシートを時おり補足しながら説明した。

 記者が強く印象に残ったのは、阿部氏が「当社の根本哲学は人間愛だ。コミュニケーションワードである〝家に帰れば、積水ハウス〟にすべてが凝縮されている」と企業理念・哲学について語ったことだ。

 住環境がすべてではないが、人の人格形成に大きくかかわるのは間違いなく住まいであり、住まいを取り巻くコミュニティにあると思う。ここに腹を据え、さらに深堀していく戦略にいささかのぶれもない。「住宅が変われば社会が変わる」というのも真理だ。そして、同社のブランド力で今後のわが国の課題である「環境」「ストック」「高齢化社会」にどうチャレンジしていくか。

 同社の「5本の樹計画」「スムストック」「サ高住」事業や、ホンダとのコラボによるロボット、さらに東芝を加えた「スマートハウス実験」などが実を結び、新たな事業を生み出すのではないかと期待したい。

 説明会では人財の育成・活用、職場環境、ダイバーシティなどについてはあまり語られなかったが、これらについてもトップランナーとして業界を引っ張る責任が同社にあると思う。

 記者の取材フィールドのマンションについては、売上高は2014年度が580億円、2015年度が740億円、2016年度が640億円と抑制された数字になっている。これは「いま一つ先が読めないし、建築費も上昇し競合も激しい。うちらしい事業しかやらない」(稲垣士郎・副社長兼CFO)とのことだ。敢えて火中の栗を拾うようなことはしないということだ。これも大正解だろう。

大和ハウス「その他」売上げ全体の15.1%占める

 大和ハウス工業は2015年3月期の通期見通しで、売上高は消費増税の反動減が響き戸建住宅は3,650億円(前期比7.5%減)にとどまるが、賃貸住宅が7,770億円(同12.8%増)、住宅ストックが950億円(同9.6%増)などと伸びることから全体では2兆8,000億円(同3.7%増)となり、営業利益は、戸建住宅の落ち込みを賃貸住宅や事業施設などがカバーし1,730億円(前期比5.8%増)と当初予想を上方修正した。

 業績をけん引しているのは賃貸住宅事業だ。売上、営業利益とも前期より二ケタ以上伸ばす。賃貸住宅管理戸数は約42万戸に上り、入居率は95.7%の高水準を維持している。記者はハウスメーカーの賃貸はよく分からないが、最近、ある一般のユーザーから「ダイワさんの賃貸が間取りも設備も他と比べて素晴らしい」という声を聞いた。差別化が徹底されているということだろうか。

 利益率がアップしたのは「事業施設」セグメントに入っているフジタの利益率の改善が大きく寄与した。フジタは売上こそ減収だったが、・フジタは減収だった一方で、売上高総利益率が3.8ポイント上昇し7.1%になった。利益率の高い案件に選別受注ができているためだ。

 同じ建設会社では、傘下の大和小田急建設も平成27年3月期の業績予想を売上高700億円(5月発表予想時増減なし)、営業利益23億円(同35.3%増)、経常利益24億円(同50.0%増)、当期純利益14億円(同55.6%)に上方修正した。

 見逃せないのが「その他」の事業だ。その他の事業とはメガソーラーの建設請負、ホームセンター、ホテル・リゾート事業、フィットネス事業、環境、農業などだが、売上高は主力の戸建住宅を上回る4,230億円(同7.4%)に達し、全体の15.1%を占める。営業利益も全体の8.7%を稼ぎ出す。

 このことが積水ハウスやデベロッパーとはまったく異なるところで、他の業種と比較しても同社が特異な存在であることをうかがわせる。積水ハウスは「その他」の売上高は950億円で全体の5.0%だ。三井不動産の「その他」は約1,000億円で全体の6.9%だ。

 少子高齢社会の進展で、住宅市場は縮小していくのは間違いない。同社代表取締役会長・CEOの樋口武男氏は「創業者の石橋信夫から創業100周年には売上高を10兆円にしてほしいといわれている」とことあるごとに売上10兆円の夢を語るが、カギを握るのはこの「その他」の事業だ。何が飛び出すか分からない。記者は全てひっくるめて〝ソリューション(問題解決)〟事業だと思うがどうだろう。

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