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2014/11/26(水) 00:00

危機に瀕する地方の社会・経済の再生を 「まち・ひと・しごと創生法」に期待

投稿者:  牧田司

 少子高齢社会の進展に的確に対応し、人口減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への過度の人口集中を是正し、活力ある社会を維持していくための「まち・ひと・しごと創生法案」と、地域の雇用機会の創出と地域の活力の再生を推進する「地域再生法の一部を改正する法律案」が11月21日、参院で可決、成立した。

 「まち・ひと・しごと創生法」では、国民一人ひとりが夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営める地域社会(まち)を形成し、地域社会を担う個性豊かで多様な人材(ひと)の確保、地域における魅力ある多様な就業(しごと)の機会の創出が目的となっており、国や都道府県がまち・ひと・しごと創生に関する目標や施策に関する基本的方向などを示すことになっている。

 「地域再生法の一部を改正する法律」では、新たに民間が発意提案できようにしたほか、認定地域再生計画の事業を金融面で支援する補給金制度を創設した。

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 「創生法」は来年の地方選をにらんだ政府与党の〝やる気〟を示したものと受け取れなくもないが、地方の社会・経済の再生・活性化は待ったなしだ。今後、具体的な各地域の再生策が打ち出されることに期待したい。

 あらゆるデータをみても地方の社会・経済状況はひん死の状態だ。コミュニティや文化の衰退も急速に進んでいる。過疎化、高齢化による山林の管理放棄、田畑の耕作放棄、里山の荒廃による害獣の被害増大がいい例だ。もはや対症療法的な活性策は焼け石に水だろう。都市と農村の対立的な構造を打破する以外に道はない。地方が死滅して都市だけが生き残れることは絶対ない。

 法の目的である「国民一人ひとりが夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営める地域社会」を構築するビジョンを政府は示してほしい。

 その成否のカギを握るのは、様々な規制の緩和もそうだが、縦割り行政の打破と「民」や「学」との連携だろう。縦割り行政の弊害はこれまでも指摘されている。官主導ではものごとがはかどらないのも証明されている。強い指導力を発揮して縦割り行政から脱却してほしい。

 NPOや民間企業の支援も欠かせない。デベロッパーやハウスメーカーは地域づくり、街づくりのノウハウを持っている。人材を支援活動にどんどん送り込んでほしい。大学、研究機関も同様だ。現場でしか社会・経済は学べない。知見を検証するためにも地方再生プログラムへの参加は絶好の機会であるはずだ。

 参院本会議では「ビジョンなきバラマキ」などとの理由から採決に欠席した政党があったというのが気がかりな材料ではある。与党、野党が対立しているようでは都市と地方の両立も期待できないのではないか。

 

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