帝国データバンクは12月15日、黒川紀章建築都市設計事務所が12月15日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けたと報じた。負債額は12億円。
同データバンクによると、2007年10月に黒川氏が死去してからは、長引く不況の影響などによる受注が減少、設計料の回収不能が重なったことなどから財務が悪化し、法的手続きにより再建を図ることとなった模様。
同社は1962年(昭和37年)4月、国際的な建築家として知られる故黒川紀章氏が創業。黒川氏は京大を卒業後、東大大学院工学研究科建築学専攻修士課程へ進学。丹下健三研究室に所属し指導を受ける。東大在学中に同社を設立した。
1986年、フランス建築アカデミーゴールドメダル、1989年、世界建築ビエンナーレ・グランプリ・ゴールドメダル、1992年、日本芸術院賞(奈良市写真美術館)など受賞。国内外の著名な建築物を数多く手がけた。
1983年に女優の若尾文子氏と結婚。2007年の東京都知事選、同年の参院選に出馬したが落選。バラエティ番組へ数多く出演するなど話題を呼んだ。
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住宅の設計では、1972年の中銀カプセルタワーがよく知られており、ダイア建設の新潟のマンションも手がけた。遺作となったマンションは東京建物「Brillia鎌倉御成町」とクレアスライフ(現在は住友不動産)「コンシュリア西新宿」。