RBA OFFICIAL
 
2014/12/18(木) 00:00

三井不レジ 良好なマンションコミュニティの価値は250万円!?

投稿者:  牧田司

インフォグラフィック図.jpg

 良好なマンションコミュニティの価値は250万円!?-三井不動産レジデンシャルと三井不動産レジデンシャルサービスが面白くて、マンション商品企画にとって示唆に富んだアンケート結果をまとめ発表した。

 先月26日に行ったマンションの未来について語るシンポジウム「Mirai Mansion Meeting」の参加者を対象に「2020年のマンションコミュニティ未来予測」に関して行ったもので、19歳から63歳まで225名(男性119名、女性35名)から回答を得た。
 コンビニなどが近隣にないと仮定し、調理中に醤油を切らしていることが分かったとき「近所に借りられるか」という問いに「YES」と答えた人は62%、近所から醤油を貸してほしいと言われたらという質問には96%の人が「YES」と答えた。

 また、2020年ころ、今よりもコミュニティが豊かになっているとしたら、近所の人とどこまでシェアできるか聞いたところ、選択肢の中からもっとも多かったのは「調味料」で58%、次いで「調理器具」47%、「キッチン」30%、「ダイニングテーブル」24%などが多く、「風呂」15%、「寝室」4%、「寝具」4%などもあった。

 さらに、良好なコミュニティができることによって実現できそうなことについて聞いたところ、「サークル活動」17名、「共同ペット」3名など趣味や娯楽を住民同士で〝共遊〟いるという回答が多く、「子ども/ペットの預かり」15名、「看取り」1名などもあった。

 3,000万円のマンションを購入すると仮定した場合、「良好なコミュニティがあるとしたら追加でいくらまで出してもいいか」という問いには、「~250万円」がもっとも多く26%で、第2位は「~500万円」24%。全体の2人に1人が物件価格の10%程度を良好なコミュニティの「価値」として評価することが分かった。

 「理想とする居心地のいいコミュニティイメージを漢字1文字で表すとどうか」という問いには「楽」28名、「和」14名、「快」8名、「優」8名などとなった。

◇       ◆     ◇

 読者の皆さんはこのアンケート結果をどう受け止めるか。面白半分で聞き、面白半分で答えたと考える人も少なくないはずだ。現在のマンション生活ではまずあり得ないことだからだ。よほど親しい関係なら醤油などの貸し借りは日常茶飯に行うだろうし〝共遊〟を行っている人もいるだろう。

 記者が小さいころは、醤油に味噌、砂糖などの貸し借りは当たり前で、風呂も隣同士で貸したり借りたりした。店は徒歩で10数分のところしかなかった。味噌、醤油、酒などは量り売りだった。親につり銭を飴玉に変えてもいいという条件でよくビンを抱えて買いに行った。頭の中は飴玉しかないから、途中で醤油なのかソースなのか分からなくなることもしばしば。間違ってまた買いに行かされた。そうして我々の世代は育った。

 世の中は変わった。無縁社会だ。5年先だろうが10年先だろうが、コミュニティは益々希薄になるのではないかとみんな考えている。しかし、近所から醤油を貸してほしいと言われたらという質問に96%の人が「YES」と答えた。みんな意識の底には「群れて生きたい」という願望があると記者は考える。そのほうが「楽」に決まっている。そのきっかけがなかなか見つからないだけだ。

 だれがそのきっかけづくりを行うかだ。先日、マンション管理協がコミュニティに関する研究調査結果をまとめ発表した。ここで佐々木誠・日本工業大学淳教授はコミュニティの価値の「見える化」を図り、マンションが目指す方向性を「コミュニティポリシー」として公開すれば、マンション購入者の購入行動に大きな影響を与え、マンションの資産価値を高めることも可能と話した。

 佐々木氏の提案は説得力がある。今回のアンケートを行った三井不動産レジデンシャル市場開発部商品企画グループは決して面白半分でやったわけではないはずだ。ひょっとしたらコミュニティポリシーの実践を考えているのではないか。どこよりも早くやったら三井のマンションが圧倒的な人気を呼ぶと思う。ただ、まさか250万円を価格に上乗せはしないだろう。価値は認めてもユーザーはない袖は振れない。

マンション管理協、2年間に全4冊1630枚の研究調査報告書(2014/12/15)

主役は参加者 マンションコミュニティーを考える三井レジのシンポに340名(2014/11/27)

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン