今年も残りわずか。この1年間で書いた「こだわり記事」は378本。分野別の内訳はマンションが155本(うち95本がモデルルーム・現地取材)、一戸建てが48本(うち30本がモデルハウス・現地取材)。記事の半数以上は分譲マンション・戸建てだった。コピー&ペーストの記事はあまり書かなかったつもりだ。RBAの野球記事も200本くらい書いた。マンション市場を中心にこの1年間を振り返ってみる。
その前に、誤字脱字だらけの独断と偏見に満ちた記事を読んでいただいた皆さんに紙面ならぬ画面を通じて感謝し、お詫びいたします。
一つだけ言い訳をさせていただくと、記事は〝ラブレター〟であり、スピードが勝負です。私のモノサシで書くので誤りはつきもので、急げば急ぐほどミスも増えます。近眼・老眼が加速度的に進んでおり、集中力が欠けるのは以前からですが、加齢が追い討ちをかけています。どうかこの事情を汲み取っていただき、お許しいただきたいと思います。
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分譲マンションでは、1年間を通じて価格(単価)の上昇が強く印象に残った。〝新価格〟がとくに後半から続出した。単価予想も外れることが多かった。来年はもう一段高くなるのは間違いない。都心部の一等地では坪700~800万円台が一般化するのではないか。23区内ではよほど立地条件の悪いところでないと坪200万円以下はなくなりそうだ。
サラリーマンの実質賃金は上昇していないので郊外部の価格上昇は懸念材料だ。前半では坪130万円台も供給されたが、後半は最低でも150万円くらいになってきた。第一次取得層の取得限界は坪180万円と見ているが、限界に近づいてきた。設備仕様レベルを落とす物件も増加した。
単価上昇を表面化させないよう専有面積圧縮でグロス価格を抑制する物件も目についた。いつか来た道だ。3~4人家族で30坪(90㎡)というのが記者のデベロッパーに託す夢だが、当分実現しそうにない。
売れ行きは総じて好調だった。ベスト3マンションの記事でも書いたが、野村不動産「立川」と三井不動産レジデンシャル「三田綱町」が瞬く間に売れたのには驚いた。いま売れ残っている物件も、来年は新価格が満遍なく浸透するだろうから根雪のように残ることはなさそうだ。
供給減がマスコミでも報じられたが、年間4~5万戸というのが適正な戸数だとわたしは考えている。レベルの高いリフォーム・リノベーションも増加しており、新築だけでなく中古マンションも取引が活発になるのは間違いない。全体として市場は緩やかに縮小し、大手の寡占が加速する。中小デベロッパーは企画力が勝負になりそうだ。
分譲戸建ては取材回数が少ないので分からない部分も多いが、記者が見学した物件は総じてレベルの高いものばかりだった。積水ハウスの「5本の樹」は他社も見習うべきだ。年末に見たミサワホームの「熊谷」は最高の物件だった。三井不動産レジデンシャルと野村不動産の首位争いもみものだった。野村は戸数の少ない物件もこれからは供給しそうだ。都内に進出したポラスも意欲的な物件を供給した。フージャースアベニューの商品企画も光った。老舗の細田工務店はもっと自社のPRに力を入れてもいい。
いわゆるパワービルダーの取材をここ数年行なっていないが、業界紙記者も物件見学はほとんど行なっていないようだ。マンションと同じくらい供給されているのに、なぜ取材しないのか。
業界団体では、マンション管理業協会の意欲的な活動が目立った。ハウスメーカー・デベロッパーの課題でもあるが、コミュニティの「見える化」をぜひ進めて欲しい。
国交省の取材はあまり行なわなかった。業界紙は宅建取引主任者の「宅建士」の〝昇格〟をずっと記事にしており、重大ニュースの一つにしているようだが、これが解せない。それより「日本らしく美しい景観」とは何ぞやの答申が待ち遠しい。