RBA OFFICIAL
 
2015/02/19(木) 00:00

目の前が公園 災害時は地域の避難場所に 日土地「荻窪天沼」全戸申し込み

投稿者:  牧田司

014_L7Z1549.jpg
「ソアラノーム荻窪天沼」

 日本土地建物が先に竣工させた高級賃貸マンション「ソアラノーム荻窪天沼」を見学した。さすが日土地、最高の賃貸マンションだ。

 物件は、JR中央線荻窪駅から徒歩7分、杉並区天沼3丁目に位置する5階建て全89戸。専用面積は44.82~71.25㎡、賃料は140,000~207,000円(平均1万円/坪)。設計は三菱地所設計。施工は戸田建設。賃貸運営は東急リロケーション。

 敷地は元勧業銀行社宅があったところ。戦後しばらくは幹部用の木造住宅が建っていたという住宅街の一角。

 目の前は、1955年から1970年頃までは料亭「天沼池畔亭」もあった西武鉄道グループの元オーナー堤義明氏が所有していた「天沼弁天池公園」。2007年に杉並区に売却され、現在の公園になっている。

 建物は、昔の歴史、文化を継承するため木調の縦格子を多用、災害時には地域住民の避難場所としても利用できるよう共用部分を開放する。

 家賃はエリアの相場のようだが、昨年12月からリーシングを開始し、竣工までにすべて申し込みが入った。

057_L7Z1913.jpg
エントランス

◇       ◆     ◇

 同社からニュースリリースが送付されてきたので、そのままリライトして記事にする選択肢もあった。しかし、平面図を見ると南西向きの2棟が雁行する形で配され、中庭も設置されていた。設計は三菱地所設計だ。コンセプトは「AMANUMA PARK TERRACE~緑と共に暮らす」。

 ぴんと響くものがあった。日土地の戸建てやマンション、ビルは30年以上前から取材している。多くというよりほとんどの銀行・証券系デベロッパーはバブル崩壊後に破たんしたが、同社は見事に乗り切った。バブルに浮かれなかったのが生き残った最大の要因だろうと思う。

 当時、同社は大規模戸建てを継続して分譲していた。同業他社は1団地で年間数百戸を供給したのに、同社はせいぜい数十戸しか供給しなかった。もちろん毎回即日完売した。売れるのにどうして多く供給しないのだろうと不思議に思ったものだが、大量供給していたら間違いなく今はない。バブル崩壊後も同じようにコンスタントに供給し即日完売した団地はそうないはずだ。

 そんな会社がありきたりの賃貸マンションの竣工にあわせてわざわざわざわざニュースをリリースするわけがないと読んだ。

 そこで、同社広報に電話して現地見学となったわけだが、みぞれ交じりの冷たい雨が降る中、現地について驚愕した。目の前はいかにも歴史を感じさせる公園があった。その公園に向き合うように建物が建っていた。縦格子が見事に公園と調和していた。同社は資産として残すために賃貸にしたようだ。

 エントランス・ラウンジは2層分。随所に本物の石が用いられていた。災害時には地域の住民が避難できるよう開放するという。LPガスを熱源とするLPG対応キッチンを備え、共用部は非常用発電で3日間電力を供給し、マンホールトイレも設置した。中庭にはデッキを敷き詰め、各住戸の門扉はアルミ製だが、ロートアイアンを思わせるよう工夫が凝らされていた。

 共用部を地域住民に開放することにしたのは、現地で説明を受けた同社住宅事業部部長・野田久登氏の経験も生かした。野田氏は3.11のとき仙台に出張で帰って来られなかったそうで、それが商品企画のヒントなった。「マンションで防災対策を完結させるようプランニングしました。見学のとき、若いお客さんがまず目の前の公園を見てにっこりされ、建物や中庭を見て驚かれた。その笑顔がとても嬉しかった」と野田氏は話した。

 記者もこれが嬉しかったのだが、野田氏は記者の拙い記事をいつも読んでくださっているようで、これもまた嬉しかった。

 やはり現地取材に限る。寒さが吹っ飛んだ。

088_L7Z1587.jpg
ラウンジ

IMG_3058.jpg
公園から見たマンション(手前はクスの大木)

IMG_3056.jpg IMG_3059.jpg
公園の弁天池(今は人工)と料亭の名残を残す山門

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン