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2015/02/26(木) 00:00

軌道に乗るアクティブシニア向け「スマートコミュニティ稲毛」

投稿者:  牧田司

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「スマートコミュニティ稲毛」

11.4haにマンション771戸とクラブハウス、グラウンド

 スマートコミュニティ(千葉市稲毛区、染野正道社長)は2月25日、アクティブシニア向けの所有権付きマンションと会員制クラブハウス利用権をセットにした「スマートコミュニティ稲毛」の記者発表会&内覧会を行なった。5年前から開発を行なっているもので、マンションは全5棟771戸の規模で、隣接する延べ床面積約34,000㎡のクラブハウスやゴルフ練習場、テニスコートなどを備えた約74,000㎡のグラウンドが利用できる。戸数は計画中も含め1,200戸くらいまで増やす計画だ。

 マンションは、JR総武線稲毛駅からバス18分徒歩2分、千葉市稲毛区長沼町に位置する敷地面積約22,000㎡、4~14階建てA~E棟全771戸。今回竣工したD棟(103戸)とE棟(41戸)の専有面積は28.81~76.48㎡、価格は29㎡のタイプが1,890万~、76㎡のタイプが3,830万円~。施工は鵜沢建設。50歳以上の健常者が購入条件。

 管理については、「管理者管理方式」を採用しており、同社の子会社が管理受託者となりマンション管理会社と委託契約を結んでいる。第三者管理方式に近いものだろう。

 クラブハウスは、商業施設イトーヨーカ堂をリノベーションしたもので4階建延べ床面積約34,000㎡。敷地面積約74,000㎡のグラウンド付き。レストラン、カフェ&バーラウンジ、フィットネスルーム、音楽スタジオ、カラオケルーム、アトリエ、ダンスホール、テニス、ゴルフ練習場などが利用できる。毎日行なわれるアクティビティメニューは数十にのぼる。初期費用は入会金、私設利用権が1人入居の場合190万円、2人入居の場合285万円。月額費用はコミュニティサービス費と朝・夕の食事費込みで1人利用が84,763円、2人利用が160,002円。

 具合の悪いときは部屋まで食事の宅配を行なうほか、日常の安否確認、看護士の常駐、協力医院との連携、マンションとクラブハウスとの送迎バスなどのサービスも受けられる。

 マンションの敷地は大地主の屋敷跡地。築300年以上の屋敷などがあったという。地主がイトーヨーカ堂を誘致して事業を始め失敗、屋敷を手放さざるを得なくなり同社が取得。イトーヨーカ堂の店舗も「格安」で取得しクラブハウスにリノベーションしたという。

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染野社長

 発表会に臨んだ染野社長は、「アメリカで人気になっているリタイア後の高齢者が健康なうちに入居し、終身で過ごすことができるCCRCを学んでわが国に生かそうと考えたのが事業のきっかけ。月額9万円の年金の範囲内で安心・安全の生活を楽しめるというのがコンセプト。5年前に始めたころは苦労したが、最近は順調に推移しており、会員数は600人になっている。クラブハウスの運営の損益分岐点は800戸くらいと考えており、隣接地でF棟103戸の分譲を始めるのをはじめ、G棟も計画中で、当面1,200戸くらいまで増やす。もう少し規模の小さいプロジェクトもやっていきたい。住民一人が年間200万円くらいを消費すると考えられ、1エリア1,000人として年間20億円が地元に還元でき、高齢者コストも大幅に削減できる」などと話した。

 会員の属性は女性:男性比が58:42、単身:2人比が74:26、平均年齢が71歳。前居住地は都内と千葉県が各30%、その他首都圏が40%。永住希望が多いという。要介護者は現在13人。

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◇     ◆   ◇

 マンションとクラブハウス、グラウンドの合計敷地面積は約11.4ha。そのスケールの大きさに驚いた。他に事例がなく、ましてやリーマンショック後だ。事業を始めた同社・宮本雅史会長に信用力と資金力がないとできないことだと思った。よくぞここまでやってこられたものだ。年間100戸を上回る分譲スピードは、こういった高齢者専用分譲マンションのニーズが確実にあることをうかがわせる。

 マンションは分譲当初、坪100万円くらいで始め、最近は坪130万円台で、今後は建築費の上昇の影響から坪165万円前後になるという。単価そのものは相場より高めだが、一般的な分譲マンションと単純な比較はできない。各住棟にはほとんど共用施設がなく、設備仕様も高くはないが、クラブハウスの利用権とセットで考える必要がある。今年1月に見学したフージャースコーポレーション「デュオセーヌつくばみらい」も坪170万円で販売は好調に推移している。

 85歳のご主人と84歳の奥さんが楽しそうに焼き物を楽しんでいた。図書コーナーには入居者からの寄贈による図書約6,000冊が収められていた。貸し出し簿などへの記入も必要ない。これらの価値はマンション単価で測れない。

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クラブハウス内

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図書コーナー

◇     ◆   ◇

 課題もありそうだ。入居者の高齢化に伴う重度要介護入居者の増加や死亡に伴う退去の増加だ。そうなった場合の中古市場での評価はどうなるのか。

 染野社長は「クラブハウスなどの利用権付きなどを考えれば、一般的なマンションより評価は高くなるのでは。要介護の入居者には訪問介護などのケア事業も考えている」と話したが、ビジネスモデルの完成にはもう少し時間が必要かもしれない。

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85歳のご主人の素焼きの作品(左)とご夫婦の合作(バイオリンがご主人の焼き物の、花は84歳の奥さんの粘土の作品)

根づくかシニア向け分譲マンション 「デュオセーヌつくばみらい」(2015/1/26)

 

 

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