壁の耐力を大きくする「ロッドマン」について説明する担当者
三井ホームは2月26日、枠組壁工法(2×4工法)では国内初の4階建て有料老人ホーム「あっとほーむ鎌倉山」の上棟現場見学会を行なった。
建物は、鎌倉市笛田5丁目に位置する敷地面積約1,400㎡、4階建て延べ床面積約2,300㎡の耐火建築物。70室。工期は2014年10月から2015年6月の予定。運営は医療法人光陽会鎌倉ヒロ病院。
敷地条件とコストを考慮して中廊下を敷地なりにクランクさせ、1階は食堂や浴室などの共用スペースと地域住民との交流やイベントが可能なスペースを設置。上層階と壁位置を極力抑えているのが特徴。
1階部分の壁の端部には大きな引抜力が加わるため、同社が独自に開発した耐力が大きい「ロッドマン」を10本採用している。
RC造は最近の資材高騰・職人不足が顕著になっており、同社では木造のよさと工期の短さ、コストの低さなどから福祉介護施設などの受注増に期待している。建築コストは一般的なRC造と比較して2割近く抑えられている模様だ。
木造による大規模耐火建築物では、国内初の2×4工法(1階はRC)による5階建て延べ床面積約9,000㎡の特養施設の入札が近く行なわれる。国交省の先導モデルにもなっている。
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いつも思うことだが、木造は美しい。どうしてこの木の上にボードなどの不燃材で被覆しなければならないのか。〝燃えていいのか〟と言われれば黙るしかないし、「法の定め」と言われればそれまでだ。
平成15年の東京都消防庁「隣棟建物への延焼阻止に関する調査研究」(消防科学研究初報40号)には、建物構造別の焼損床面積について次のように書かれている。
「木造、防火造、準耐火造、耐火造と建物の不燃化が進むにつれて、平均焼損床面積の割合が減少していく傾向が見られた」
「平成12年度第6回東京都市街地状況調査から、特別区と多摩地区との合計東京都建物構造別比率は、木造15%、防火造57%、準耐火造13%、耐火造15%となっている」
「出火建物及び延焼被害建物構造別比率は、木造31%、防火造54%、準耐火造5%、耐火造10%となっている」
そしてまた、「延焼受害性、延焼加害性の双方を考慮し、その火災の綿密な延焼経路、屋根、軒裏、壁、開口部等の防火性や窓などの開口の有無等、様々な基礎データを集積していくことが望まれる」としている。
調査研究は、木造のほうが非木造と比較して2倍の延焼被害があることを証明している。当たり前だ。
しかし、それでも「木造住宅は日本の文化だ」と言いたい。美しいわが国の文化をコンクリやら化学製品で覆い隠さないとだめなのか。記者は理解できない。木は燃えるものだ。コンクリや鉄の土俵で木造を戦わせることに無理があるし不公平だ。どんなに頑張っても鉄やコンクリは木のような美しい表情をつくれない。
建築中の老人ホーム