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2015/03/11(水) 00:00

「リファイニング」に熱い視線 60坪の建物見学に250人殺到 青木茂建築工房

投稿者:  牧田司

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「セドール笹塚」(後ろの建物が敷地分割した既存建物)

 青木茂建築工房は3月10日、東京都杉並区のリファイニングマンション「セドール笹塚」の竣工見学会をおこなった。築38年の3階建て6戸の狭小マンションで、予約見学を受け付けたところ申し込みが殺到。急きょ見学枠を増やし、予定を50名超える約250名を受け入れた。

 現地は、京王新線代田橋駅から徒歩7分、杉並区方南1丁目の環7通りと水道通りが交差する商業地。建物は昭和52年建設で、3階建て延べ床面積約200㎡の6戸の賃貸マンション。

 まず経緯だが、平成23年に公布された都の条例により環7は特定緊急輸送道路に指定され、建物は耐震改修化の対象になり、設備・間取りの陳腐化、老朽化が進行したため所有者が改修を決断してリファイニングは始まった。

 物件は既存建物の増築として存在しており、建築確認図書と検査済証がなかったため復元。所有者の希望もあり既存建物と敷地分割し、杉並区と協議を重ねて適法性を確保。

 工事は耐震診断のほか設備の更新を行い、開口部の大きい窓は遮音性を高めるために二重サッシにし、床は無垢のオーク・カバのフローリングとした。外壁はガリバリウム鋼板とすることで、躯体保護と断熱性を高めている。

 一連のリファイニングによって、耐用年数は税法上では残り12年となっていたものを今回の改修時を基準に新築並みの50年に復活させた。

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青木氏(完成した建物の前で)

◇       ◆     ◇

 同工房は、今回のリファイニングについてA3の紙を8つ割り16面にしたリーフレットを作成している。小さな文字で写真、図面も付けて詳細に全体像を説明している。もらえるかどうかは分からないが、入手したい方は同工房に頼んでみてはどうか。

 さらに勉強したい方は、日経アーキテクチュアが主催する「資産価値を高める改修設計のテクニック」セミナーが3月16日に行われ、青木氏が講義するのでそちらに参加していただきたい(ただし有料)。

 記者が改めて驚いたのは参加者の数だ。同工房が見学申し込みを受け付けたのが2月24日だ。申し込み締め切りは3月2日だった。ところが、28日の段階で「参加希望者数が200名を超え、全ての各時間帯においても50名を超えました。そのため、狭小マンションであり敷地に余裕がないこと、また、近隣のみなさまへの影響と見学の際の安全上の観点から、検討の結果、受付を締め切らせていただくことにいたしました」とのメールが送られてきた。

 それでも、見学希望が絶えなかったため、同工房はもう一枠見学時間帯を設けて約250人まで受け入れた。

 敷地はわずか60坪しかない。そんな極小敷地に250人だ。ハウスメーカーもデベロッパーもこれほどの数を集めた見学会はどれだけあるだろうか。リフォームでもない建て替えでもない「リファイニング」に熱い視線が注がれている。

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最上階はペントハウス付き

「再生建築学の設置を」 青木茂氏、三井不動産のセミナーで語る(2013/12/10)

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