「梅田町復興公営住宅」
三菱地所レジデンスは3月11日、仙台市に16事業ある仙台市復興公営住宅公募買取事業のうち2 棟目、仙台市青葉区では1 棟目となる「梅田町復興公営住宅」(66 戸)が竣工し、仙台市に引き渡したと発表した。
建物は鉄筋コンクリート造10階建て。専用面積は35.72~75.20㎡。同社が建設した建物を仙台市が買取ったもの。
防災力・省エネルギー・低炭素化に配慮した建物とするだけでなく、入居者のコミュニティと周辺地域の既存コミュニティの円滑な融合を図るため、趣味の集いなどで周辺住民とともに利用ができる集会所を1 階に配置。集会所へのアプローチは住居へのアプローチと分けることで周辺住民も利用しやすい計画としている。
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復興公営住宅についてはまったく知らない。福島県は原子力災害に関する災害公営住宅の計画戸数が一部未確定だが、決まっているものだけで被災3県全体で約53,000戸が計画されている。1件当たり数戸規模から100戸単位の大規模なものまである。地域、住民の実情にあわせなければならないだろうから、それだけきめ細かな計画が必要なのは十分理解できる。
素人の考えでは、入居者は自力で住宅再建が困難な低所得者や高齢者が多いのだろうから、住宅プランもバリアフリーはもちろん、コミュニティ形成に配慮したものにしなければならないと思う。
参考になるのは、先に竣工した岩手県釜石市の「釜石市上中島町復興公営住宅」210戸だろう。「民設市買取型スキーム」により新日鐵住金が所有する敷地に新日鉄興和不動産が建設し、建設後に釜石市が買い取ったものだ。
スチールハウス工法と鉄骨造を組み合わせて工期短縮とコストを抑制したのが特徴だが、記者はプランに注目した。隣接する住戸のバルコニー間の隔て板を取り払ったコモンバルコニーを設置し、隣接する居住者間で「見守り」を兼ねたコミュ二ティの醸成を図ろうという試みが斬新だ。
似たものでは積水ハウスが未来住宅として提案したのを見ているが、それは開放廊下側にコモンスペースを設けたものだった。バルコニー側に設置した共同住宅など過去にないはずだ。公営住宅だから踏み切れたのだろうが、よくぞ実現した。
きちんと検証して結果を報告して欲しい。これが成功すれば分譲マンションにも応用できるかもしれない。
業界紙の「住宅新報」が最新号でこの公営住宅について特集しているようなのでしっかり読みたい。
「釜石市上中島町復興公営住宅」